12 分 2020年9月10日
色とりどりの建物が軒を連ねる都会の風景。

ダイバーシティとインクルーシブネスの重要性

執筆者 EY Global

Ernst & Young Global Ltd.

12 分 2020年9月10日

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ダイバーシティ(多様性)とインクルーシブネス(包摂性)に富んだ環境の推進は、より良い意思決定を可能にし、イノベーションを促進して組織の機敏性(agility)を強化します。そのいずれも、EYのステークホルダーが現状に対応し、次の課題に備え、将来を再構築する支援を行う際に不可欠です。

ダイバーシティ&インクルーシブネス(D&I)は、私たちの在り方と働き方の中核をなしています。最も困難な課題に取り組むEYのクライアントを支援するためには、幅広い層の人々から最良のアイデアを得る必要があります。その代わりとして、彼らには帰属意識や、自分たちの貢献には価値があり、その声が届いていると感じられるようにしなくてはなりません。

EYは、数十年にわたりD&Iを推進してきました。大きな実績を上げてきた一方、現在も世界的なNextWave戦略と目指すべき姿のもと、私たちは組織全体でD&Iの推進に全力で取り組んでいます。

意思決定や事業運営、行動に多様な視点を取り込まなければ、EYのメンバーにとっての長期的価値だけでなく、クライアントや社会のための、また財務面においての長期的価値を確立することはできません。これは、「より良い社会の構築を目指して(Building a Better Working World)」というEYの理念の実現を支え、EYのメンバー全員に素晴らしい経験をもたらします。

EYのメンバー、クライアント、外部のステークホルダーは、よりインクルーシブな職場を期待しており、私たち自身も、自らの説明責任と透明性をさらに向上できると考えています。EYのインクルーシブな価値観は、私たちの行動を支え、日々の指針となっています。

EYの最高リーダーシップ機関であるEY Global Executiveは、ダイバーシティ&インクルーシブネス・ステートメントに署名し、EYのD&Iをさらに促進することを対内的および対外的にはっきりと約束しました。これは、D&Iがビジネス上の重要な手段であると強調するだけでなく、まずトップが姿勢を示すことで、EYが責任を持ってD&Iを間違いなく推進させることを確約するものです。

colourful boats on Phewan Lake Sunrise

EY Global Executiveによるダイバーシティ&インクルーシブネス・ステートメント

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EYの組織全体の説明責任の向上を図るための次なるステップは、グローバルD&Iトラッカーの立ち上げです。これは、一貫性のあるダイバーシティおよびインクルーシブネスの指標を用い、組織全体に対してグローバルに報告を行うことで、進捗状況を確認しやすくするものです。

私たちは、EYのD&Iの取り組みを導くアプローチと方法論であるD&I Roadmap and Culture Change Continuum(PDF、英語版のみ)に沿い、より迅速でより着実に世界中で前進しています。

EYグローバル会長兼CEOのCarmine Di SibioおよびEY Global Vice Chair – Diversity& InclusivenessのKaryn Twaroniteが共同委員長を務める、EY Diversity and Inclusiveness Steering Committee(GDISC)の主導により、このロードマップはEY全体で実行されています。

組織全体から選ばれた本委員会メンバーの責務は、課題の探求、成功事例の提示、前進を加速させるための問題解決への協力を通じて、EY全体でロードマップを活性化させることです。2020年、EYは再びDiversityInc誌によってExecutive Diversity Councilsのトップ企業に選ばれました。

成長の鍵はD&I(ダイバーシティ&インクルーシブネス)

さまざまな視点を積極的に受け入れ、活用し、学ぶ力こそが、クライアントの期待に応える成果への鍵となります。

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  • EYにおけるD&Iの定義

    ダイバーシティとは人々の多様性を認める考え方です。EYは、その個々の「違い」を幅広く捉え、評価し、尊重します。国籍、言語、教育、ジェンダー、性自認・性表現、性的指向、年代、年齢、社会経済的背景、働き方、考え方、宗教的背景、障害の有無、経験、キャリアパス、技術的スキルに加え、一部の社会では民族、肌の色、文化、人種に関連してアイデンティティの特徴と定義されたり、見なされたりするものなど、さまざまな違いを考慮します。他にも地域やサービスライン、セクター、部署による違いがあります。

    インクルーシブネスとは、こうした違いを生かして、EYのメンバー全員がお互いに相手をありのまま受け容れて尊重し合い、帰属意識を感じ、あらゆる場面でそれぞれの良いところを発揮し、切磋琢磨し合う環境を構築することに他なりません。

差別をなくし、より公平な社会を実現するためのEYの取り組み 

EY Global会⻑兼CEOのCarmine Di Sibioは、EYとEYのコミュニティ内における言行一致を徹底させることを固く約束してきました。米国で起こった悲劇的な暴力事件をきっかけに、世界中で抗議やデモが行われ、長年にわたって社会全体に不公平が存在してきたことが浮き彫りになりました。EYには変化を導き、正義、インクルージョン、公平性の促進のためにより多くのことを行う力があるという認識のもと、私たちはEYおよび私たちが働くコミュニティ内での戦略的変化の推進に組織全体で取り組んできました。

これらの取り組みをさらに進展させるため、Global Social Equity Task Force(GSET)も設置しました。EYの取り組みを促し、人種差別を含む不平等と差別に明確に反対するために団結してグローバルな行動を率先して行うことを支援するグループで、さまざまな地域、サービスライン、部門に属する、幅広い経歴と視野を持った多様なEYのリーダーが参加しています。

私たちが世界規模で対応している例として、米国(英語版のみ)英国(英語版のみ)における人種差別反対行動への EYのコミットメントをご覧ください。

プロジェクトについて議論するビジネスマンとビジネスウーマン

第1章:危機の時代におけるインクルーシブなリーダーシップ

インクルーシブなリーダーシップを体現する行動の徹底が重要

インクルーシブなリーダーシップは、相互のつながりから生じる良い影響を拡大します。また、特に困難な時期には、安心、信頼、帰属意識を育むために不可欠です。

この1年、パンデミックや米国での悲劇的な暴力事件に対する世界的な反響を含め、世界では前例のない出来事が起こり、不平等や人種差別という広範な問題は、1つの国や集団だけのものではないことが明らかになりました。このような困難な時期において、EYのリーダーたちは一体となって、影響を受けている人々の話やニーズに積極的に耳を傾け、ストレス、不安、将来への不透明感を覚える時にEYのメンバーが一体感、連帯感、サポートを確実に得られるよう努めてきました。これらの一連の行動から得られた知見は行動計画にも反映され、不正や差別をなくすための変革の先駆けとなり、組織全体で公平性を実現するために力を尽くすという、EYの世界的なコミットメントを支えるでしょう。

私たちが世界的な危機の時代を共に乗り越え、また、EYのクライアントが同様に危機を乗り越えられるよう支援するに当たり、鍵となるのは、インクルーシブなリーダーシップを体現する行動の徹底です。これには、ロールモデルになることや各自に自らの責任を認識させることから、公平な意思決定、共感と関心を伴った関係作りとその関係への参加まで、さまざまな行動が含まれます。

帰属意識の重要性

職場に対する帰属意識を培うことは、エンゲージメント、生産性、イノベーションを高めるための重要な要因です。

帰属意識について詳しく知る(英語版のみ)

EY Prideを表すビル

第2章:多様なインクルージョンへの支援

前向きな変化を促す

EYは、多様な才能や視点を持つメンバーで構成されています。私たちは、職場におけるインクルージョンについて、社内ではEYのリーダーやメンバーと、また社外ではクライアントと、啓発活動を行い、理解を深め、活発に議論することにより、あらゆる違いを認識しています。

私たちはこれまでの歩みに誇りを持っています。そして、このような対話は今も行われています。以下に、私たちの行動の例を紹介します。

  • 障害を受け容れることで、EYの可能性をどのように広げられるでしょうか。

    EYの共同創業者Arthur Youngは弁護士として教育を受けました。しかし、視力のほとんどと聴覚を失うと、弁護士として法廷に立つことができなくなりました。そこで、会計という新興の職業に転じ、自分のスキルを新たな方法で活用する機会を得ました。自らの障害のために、彼はイノベーションと起業家精神の道に進むことになったのです。これは、今日でも EYという組織の礎となっています。

    今日、EYのメンバーやクライアントを含め、世界中で10億人以上の人々が、障害を抱えて生活しています。障害を持つ人の80%は、18歳から64歳までの働き盛りの時期に障害を負っています。私たちは、障害者のインクルージョンがどのようにビジネスに良い影響を与え、帰属意識と包摂感の増大につながるのかについて、EY内および他の組織との対話を促進する責任があります。

    2019年にEYは、The Valuable 500(PDF、英語版のみ)に加盟しました。これは、最も影響力のある企業500社に呼び掛け、世界で障害を抱えて生きる10億の人々のビジネス、社会、経済上の価値を引き出し、体系的な変革を起こそうとする国際的な運動です。

    私たちは、変革を起こし、ビジネスの価値を引き出すために、障害者インクルージョンをEYのリーダーたちが取り組むべき課題とすることを約束しました。

    また、障害者インクルージョンへの連帯とコミットメントを示すため、世界中のEYのメンバーがGlobal Disability Inclusionキャンペーンに向けて団結し、2019年12月3日の国際障害者デー(IDPWD)への賛意を堂々と示しました。ニューヨークからダブリン、そしてブリスベンまで、世界各地で30以上のローカルイベントが開催されました。世界中のEYのリーダーから共感の声が上がり、このキャンペーンを通じて、企業がどのように障害者インクルージョンを推進できるかについて、議論が生まれました。

    障害者インクルージョン推進策の一環として、ディスレクシア(失読症)への重点的取り組み(英語版のみ)、ニューロ・ダイバーシティの研究拠点であるNeurodiversity Centers of Excellence(英語版のみ)の設立、香港およびシンガポールにある障害を持つ人材の募集・雇用のための障害者インクルージョン団体との提携などを世界中の各地域で行っています。

  • 25年にわたる職場でのLGBT+インクルージョンの推進

    多くのレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどLGBT+の人々は、自分が自分であるというだけの理由で、今もなお世界中で社会的排除や差別に直面しています。

    先行きが不透明で孤立が深まりかねない時期には、このような状況が悪化するかもしれません。

    EYは、今年も引き続き世界中のLGBT+コミュニティを支援し、EYのLGBT+ネットワークであるUnityの25周年を祝うことで、LGBT+インクルージョンを推進しました。

    1995年に創設された同ネットワークは、英国の民間部門では先駆け的な存在であり、EYでは従業員が主導した初めてのネットワークでした。現在、世界の70以上の国と地域に4,750人のメンバーがいます。

    Unityや他のグローバルな支援活動を通じて目指しているのは、LGBT+インクルージョンへの取り組みを強化し、他者の指針となろうとしているEYのクライアントや他企業への先例となることです。

    この取り組みを支援するため、EYはLGBT+インクルージョン進展の影響を示す研究を後援し、共同研究をしています。これらにはOpening up the World(世界をひらく)、Out in the World(世界のどこかで)、Making It Real Globally(グローバルな実現)、2020年6月に開始されたOut Leadership社のAlly Up: Ally is a Verbリサーチなどがあります。

    このような研究や他組織との協働を通じて、EYは世界経済フォーラムと⼤⼿多国籍企業とのコラボレーションであるPartnership for Global LGBTI Equality (PGLE)(英語版のみ)の創設スポンサーとして、また、国連のStandards of Conduct for Businessの原署名者として、特別な機会に恵まれ、LGBT+インクルージョンの影響の認知度を高めることができました。

    アライシップ(理解と支援)について

    EYでは、LGBT+インクルージョンの取り組みの一環として、社内外のアライ(LGBT+ に代表される性的マイノリティを理解し⽀援するという考え⽅を明確にしている⼈々)と本音で説得力のある対話をすることにも力を入れています。

    • インドのGlobal Delivery Service(グローバル・デリバリー・サービス)では、一連のウェビナーにストーリーテリングの手法を取り入れ、LGBT+従業員のためのアライシップと安全な居場所作りに焦点を当てました。ゲイの子どもを持つ同僚、アライであることを誇りに思っている家族、クライアントのインクルージョンの取り組みを主導する職場のアライなど、さまざまなストーリーが共有されました。
    • EY Asia-Pacific Area Managing PartnerのPatrick Winterは、Unityのリーダーとともにウェブキャスト「Breaking the silence」に参加し、私たちがどのように差別やハラスメントに対して声を上げ、立ち向かっているかについて、EY内で個人的な体験談を共有し、個々の話に耳を傾けました。
    • Americas(北・中・南米)エリアでは、参加者のアライシップスキルおよびLGBT+アライとしての自己認識の強化を促す自主的なインタラクティブツールであるオンラインのAlly2Advocateプログラムに100名以上のEYのプロフェッショナルが参加しました。Unityも、バイセクシュアルコミュニティの認知度を高め、アライシップを醸成するために、Bi+インクルージョンに関するグローバルなウェブキャストを開催しました。
    • またEMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)では、LGBT+の人々が職場で自分らしくいられるよう支援するために必要な職場のカルチャーの変革を促進するため、全域にわたるLGBT+アライのネットワークが作られてきました。EMEIA全域から2,000名を超えるアライが登録しており、アライのウェブサイトには、EYのメンバーがLGBT+アライとして効果的に活動できるよう、メンバーの名簿やその他の資料が掲載されています。 
    LGBT+であるプロフェッショナルと家族への支援

    米国では、ジェンダーの多様性を肯定する医療を支援するPathways to Transitionプログラムや、全員が取得可能な代理母出産休暇および家族休暇でサポートするPathways to Parenthoodプログラムなど、進歩的な方策を通して、職場環境がよりインクルーシブになるよう支援しています。 EY USのパートナー、Joe Matuszewskiが、自らの養子縁組の経験を紹介しています。こちら(英語版版のみ)からご覧ください。

  • 女性の平等の実現を促進

    EYの D&Iの重要課題の1つが、女性の活躍推進です。

    EYは、自らの経験とジェンダー間の平等の達成を加速させるための施策Women. Fast forward(WFF)のプラットフォームに基づき、変化を速めるために策定された具体的な取り組みを通じて、世界中の全ての人(女性、男性、トランス女性、ノンバイナリー、ジェンダー不適合の人を含む)および組織(企業、非営利団体、政府、学校など)が、女性を認め、女性の活躍を推進するよう導いています。

    3つの柱が、WFFのプラットフォームを作り上げています。

    • 女性起業家たち。例えば、アルツハイマー病の治療法から企業のサイバー脅威対策まで、あらゆる分野に取り組む女性創業者をはじめ約600人で構成されるグローバルなコミュニティEY Entrepreneurial Winning Womenのメンバーたちです。
    • ビジネス界の女性たち。女性アスリートのユニークなリーダーシップ力の発揮を支援し、称賛するために設けられたEY Women Athletes Business Networkの参加者なども含まれます。2016年以来、EYはオリンピック選手と一流選手を19人雇用してきました。競技で活躍した経験が経営者としての成功にどのようにつながるのかをご紹介します。
    • 女性とテクノロジー。テクノロジー分野におけるジェンダーギャップの解消や、子どもを含む幅広い年齢の女性がこの分野に参入し、とどまり、前進できるよう支援する環境作りに注力するWomen in Technology (WiT)プログラムなどがあります。

    平等の促進は経済的に不可欠であり、高成長、富の増加、コミュニティの強化をもたらします。より良い社会の構築を目指し、ステークホルダーの挑戦を支援するためには、このような平等の推進が重要です。#SheBelongsの確実にするために、もっとできることはないでしょうか?

    日々、#SheBelongsの実現に向けて

    EY は、全ての EY のメンバーとネットワークに#SheBelongsの実現を呼び掛けています。ジェンダー間の平等とは、解決すべき問題ではなく、むしろ企業と社会が抱える極めて複雑な課題に対する解決策と言えます。ジェンダー平等の重要性を啓発するため、今年は、特別な日である国際女性デーを世界的に社内外で祝いました。

    考え方を変え、行動を変え、関わり方を変えることで、私たちの誰もが#SheBelongsの実現に貢献できます。#SheBelongsは単なるハッシュタグではなく、女性がこれまでになくあらゆる段階で意思決定に関与していることを思い出させてくれるものです。私たちは#SheBelongsの実現に向けて、積極的に女性の活躍を擁護し、模範を示していることを誇りに思います。

サマリー

意思決定や事業運営、行動に多様な視点を取り込まなければ、EYのメンバーにとっての長期的価値だけでなく、クライアントや社会のための、また財務面においての長期的価値を確立することはできません。これは、「より良い社会の構築を目指して(Building a Better Working World)」という当社の理念の実現を支え、EYのメンバー全てに素晴らしい経験をもたらします。

この記事について

執筆者 EY Global

Ernst & Young Global Ltd.

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