2023年2月13日
より良い社会の構築に向けて進化し、プロフェッショナル・サービス・ファームとしてさらなる飛躍へ

より良い社会の構築に向けて進化し、プロフェッショナル・サービス・ファームとしてさらなる飛躍へ

執筆者 貴田 守亮

EY Japan チェアパーソン 兼 CEO ジャパン・リージョナル・マネージング・パートナー

戦略の遂行者。革新的な技術やソリューションを通してクライアントのビジネスに変革をもたらす。ダイバーシティー&インクルーシブネス(D&I)を次世代のために強力に支持。ピアニストであり、水泳を趣味とする。

2023年2月13日

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  • カーボンニュートラル社会の実現 エネルギービジネスの変革に向けたカウントダウン(PDF)

長期的価値(Long-term value、LTV)を創造する原動力は、EYのパーパス(存在意義)とメンバーの一人一人の情熱が強く結び付くことで生まれます。私たちは、人的資本への投資を拡大しつつ、組織内および社外との共創を通じてソリューションを強化し、より良い社会の構築を実現します。
 

要点

  • EYは企業のESG経営を支えることで、社会の長期的価値の向上に貢献する。
  • クライアント企業との共創を通じてソリューションの拡大に取り組んでいる。
  • EYのグローバルネットワークとメンバーのパーパスを整合させ、クライアント企業の活躍を促進する。
  • 進化に向けたディスラプション(創造的破壊)を次世代のあり方として自ら選択。
     
グローバルネットワークの強みを活かしたアプローチでクライアント企業のESG経営をサポート
(Chapter breaker)
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Section 1

グローバルネットワークの強みを活かしたアプローチでクライアント企業のESG経営をサポート

EY Japanは、混迷の時代における企業のメッセージ発信と課題解決に向けた行動を支えるため、グローバルネットワークの強みを活かしたソリューションを提供し、共創力を発揮してクライアントを支援します。

EY Japan チェアパーソン兼CEO ジャパン・リージョナル・マネージング・パートナー(RMP) 貴田 守亮

EY Japan チェアパーソン 兼 CEO
ジャパン・リージョナル・マネージング・パートナー(RMP)
貴田 守亮

21世紀に入り、私たちを取り巻く世界は、気候変動や資源問題、都市化の進行、人口動態の変化、技術革新の進展といった動きが速度を増しています。人々は、その中で直面する多くの課題を克服すべく、持続可能な社会の実現につながる価値観を重視し、変革の必要性を認識してきました。ESG(環境・社会・ガバナンス)は、こうした背景から生まれてきた企業経営および投資活動の大きな流れです。近年は、投資家の中心的存在となりつつあるミレニアル世代などの若い層がESGへの高い意識に基づき、企業への要求や議論を通じて、経済・社会全体に影響を及ぼしています。今やすべての企業がESGに対して真摯(しんし)に向き合い、自社の考えと行動について、若い世代の投資家の関心を意識した丁寧な説明を行う必要があります。

EYは、2013年よりBuilding a better working world ~より良い社会の構築を目指して」をグローバル全体のパーパスに掲げ、クライアント企業のESG経営をサポートしています。企業は、気候変動リスクの高まりを受け、特にE(環境)に関する議論を深めてきましたが、S(社会)とG(ガバナンス)については、議論が十分に進んでいません。特に日本では企業のトップになる後継者不足の問題など企業のGへの対応が問われており、EY Japanが積極的にサポートしています。

2022年は、コロナ禍が続く中でウクライナを巡る情勢が不安定となり、原材料・エネルギーコストの高騰や食糧不足、インフレ進行などのマイナス影響が広がりました。その動きはESG経営およびESG投資にも波及し、サステナビリティに対する企業活動が経済的リターンを犠牲にするといったトレードオフの関係が顕在化しています。環境配慮を偽装する「グリーンウォッシング」の動きも指摘され、ESGに関する透明性の高い開示が求められています。

こうした混迷の時代において、企業はどのようなメッセージを発信し、課題解決に向けてどのように行動すべきか。私たちEYは、これまでアシュアランス、税務、コンサルティング、ストラテジー・アンド・トランザクションの連携によるチームアプローチを通じて、多岐にわたる経営テーマをカバーするとともに、EYの強みであるグローバルネットワークを活かしたソリューションでクライアント企業のニーズに応え、事業の成長・発展を支えてきました。EY Japanは、EYのグローバルネットワークから監査ツールの開発ノウハウや、コンサルティングの先進事例に関する知見などの提供を受け、サイバーセキュリティ対応においても、グローバルで構築した監視センターを利用し、リスクを回避し、サービスの質を高めています。一方でEY Japanからは、AIを活用した監査業務の効率化ノウハウの提供や、成功したソリューションの共有などを通じてEYのグローバル組織に貢献しており、相互に連携を図っています。

特に2022年は、地政学リスクを受けたサプライチェーン上での対応や、経済安全保障に関わる事業戦略面の検討など、企業支援のさまざまな局面において、こうしたEY独自の強みを発揮する機会が増えました。この強みをさらに拡充し、将来、発生する恐れがあるとメディアでも報じられている台湾海峡有事などを含む地政学リスクを踏まえた事業分析においても、引き続き支援していきます。

この他にEYの特色として挙げられるのは、社外のアライアンスパートナーとのプロジェクトを通じて、長期的価値に資する共創力を発揮している点です。さらにサステナビリティへの取り組みにおいては、クライアント企業へのソリューション提供にとどまらず、気候変動や生物多様性などの領域で第三者機関との枠組み作りに関与しています。

パーパスをメンバーの行動で具現化し、長期的価値につながる企業支援を実施
(Chapter breaker)
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Section 2

パーパスをメンバーの行動で具現化し、長期的価値につながる企業支援を実施

私たちが社会に与えるインパクトは、長期的視点からより良い社会を構築するという、終わりなきゴールを目指すものであり、クライアント企業への幅広い支援を通じて、その取り組みに大きな手応えを感じています。

「Building a better working world」というEYのパーパスについて、私たちは2013年の策定から数年をかけ、メンバーの一人一人が個人として目指す「My Purpose」を自らの行動で具現化していくための取り組みを進めました。

そこで私たちが築いたものは、個々のメンバーのパーパスと専門性が結び付くことから高められる情熱が、クライアント企業へのサービスにつながっていき、社会にどのようにインパクトを与えるかを考えていくというマインドセットです。こうした従業員と企業のパーパスをつなげる取り組みを、コンサルティングサービスへと広げています。

私たちが社会に与えるインパクトとは、一時的なものではなく、長期的視点からより良い社会を構築するという、終わりなきゴールを目指すものであり、その点がEYの独自性であると自負しています。ここでは2022年の取り組みの中から、大きな手応えを得ている官民を含むいくつかの企業支援の事例を紹介します。

アシュアランスにおいては、企業の開示書類作成や連結決算と監査対応の事務負担を軽減し、監査品質の向上につなげるため、財務諸表の作成と監査がシームレスとなるシステムの開発に着手しています。一例として、決算・開示データのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携に強みを持つ宝印刷株式会社、連結会計システムと決算業務のアウトソースに強みを持つ株式会社ディーバとそれぞれ共同プロジェクトを進め、早期のリリースを目指しています。
 

税務においては、台湾の大手半導体製造企業への大規模な補助金の適用といった経済産業省の助成金交付事業に対し、その経済合理性や波及効果について、EY税理士法人が専門的知見に基づく支援を行いました。
 

また、EYでは、政策アドバイザーを務めるストラテジック インパクト(SI)と各グループが連携し、クライアント企業が国家レベルの安全保障に関わる動きを進める際、これに先んじた支援を提供しています。
 

コンサルティングにおいては、グローバルビジネスの動向を分析するEYのチームとSIの連携により、沖縄県のコロナ禍収束後の観光復興に向けたデータ利活用の取り組みを開始しました。観光客の行動や消費に関するデータを取得・分析し、ツーリズムのDX(デジタルトランスフォーメーション)促進を図るものです。

ストラテジー・アンド・トランザクションでは、人口減少や施設の老朽化など、さまざまな課題に直面している地方の水道事業において、熊本県荒尾市に、市民に安全な水を届ける持続可能な官民連携のあり方について、リスク分担やモニタリング手法、また、契約上の法的観点などからアドバイスを行いました(本取り組みの詳細はこちら)。


近年、EYのメンバーファームに入社した社員の多くは、私たちのパーパスに共感して集まった人たちです。そのことが組織全体の底力となり、ここに例を示したようにさまざまな成果を上げています。

一方、社外との連携では、テクノロジー企業などのアライアンスパートナーと共に、企業価値につながるソリューションを生み出し、その拡大に努めています。マイクロソフト社とのアライアンスでは、企業が従業員に伝えたいカルチャーや理念、新たな戦略などを社内に浸透させるために、オピニオンリーダーとなる素質を持つ人材を識別するシステムを開発しました。これは、従業員の業務における行動データを分析し、その資質を把握するもので、同社のテクノロジーとEYのノウハウを組み合わせた成果の一例です。

このように私たちは、組織内および社外との共創を通じて独自性を強化しながら、各種サービスやソリューションの提供を社会全体の価値創造へ発展させていきます。

仕事を通じてメンバーの人的価値を高め、グローバルに活躍できる人材を育成
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Section 3

仕事を通じてメンバーの人的価値を高め、グローバルに活躍できる人材を育成

メンバーが自らの価値観や情熱と自身の携わる業務を整合させ、強く結び付けていくことを重視。「MeからUsへ」の考え方を基に、個人からチームワークへ、そして社会へ、価値の提供を広げています。

私たちの「より良い社会の構築を目指して」というパーパスは、EYが「なぜ」世の中に存在するのか、その理由を示すものです。そしてパーパスに基づき「何を」私たちはやっていくのか、それを示すのがClient value、People value、Social value、Financial valueを価値基準とするAmbition(目指すべき姿)です。

クライアント企業の成長に寄与し、価値を最大化するために、EYは業務を通じてメンバーの人的価値を高め、より良いサービスの提供につなげています。そしてクライアント企業とEYのメンバーが社会を変えていく原動力となっています。

その起点となるのは、人的資本への投資であり、私たちはプロフェッショナル・サービス・ファームとして、グローバルに活躍できる人材の日本における育成に責任を負っています。EYはメンバーに対し、グローバルなコミュニケーションや多様なカルチャーへの理解力・対応力を求め、そうした資質の形成やマインドセットを促すための職場環境を整備しています。

具体的な取り組みとして、EY Japanのメンバーファームで働くメンバーがグローバルで働く機会を設けたり、キャリア形成プログラムとしての海外駐在や、プロジェクトベースでの海外派遣など、人材交流を活発に行っています。また組織内の連携が強いEYでは、こうした人材がバーチャルでチームを組み立て、グローバルコミュニケーションやマインドセットなどを形成する機会を広げています。

同時に、アシュアランス、税務、コンサルティング、ストラテジー・アンド・トランザクションの各サービスライン間においても、プロジェクトベースでの連携を通じて人材交流を広げており、こうしたチームワークの充実を通して人的価値の向上につなげています。


EYは、メンバーが自らの知識やスキルを活かして自発的に参加する、企業としての責任(CR)プログラム「EY Ripples」や、メンバーが個人として目指す「My Purpose」を重視しています。それは、一人一人の価値観や情熱と、自身が携わる業務とを整合させ、強く結び付けることが長期的価値創出の原動力になると考えているためです。特にミレニアル世代などの若い層は、自分の個性や能力と業務が整合していることを非常に重視し、それを確認することで大きな力を発揮する面を持っています。

私たちは、「MeからUsへ」の考え方を基に、個人からチームワークへ、そして社内から社外へ、価値の提供を広げています。メンバーの一人一人が、仕事の中で自分自身の情熱を感じ、EYのパーパスとの結び付きをさらに深めてほしいと思っています。

クライアント企業の要望に応えるソリューションを提供し、世界が直面する問題を解決
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Section 4

クライアント企業の要望に応えるソリューションを提供し、世界が直面する問題を解決

私たちは、先進的なテクノロジーの活用やグローバルなノウハウ・知見の共有により、企業の存続を支え、持続的な社会の実現に寄与します。

EYはパーパスに基づき、クライアント企業の要望に応えるソリューションを提供し、事業の成長・発展を支援しています。そして世界が直面する状況に対し、的確な課題提起を行い、新たな解決策を導きます。冒頭に述べたように、私たちを取り巻く社会は、地政学リスクや気候変動リスクの高まりを受け、この数年で大きく急速に変化し、企業はさまざまな脅威への対応に迫られています。私たちは、先進的なテクノロジーの活用やグローバルなノウハウ・知見の共有により、企業の存続を支え、持続的な社会の実現に寄与します。
 

EY Japan チェアパーソン兼CEO ジャパン・リージョナル・マネージング・パートナー(RMP) 貴田 守亮

EY Japan 統合報告書 2022

Integrated Report 2022

サマリー

私たちEYは、企業の事業成長を支え、ESG経営を促進することで、社会の長期的価値に寄与します。メンバーの一人一人の価値観や情熱を起点として、「MeからUsへ」の考え方を基に、個人からチームワークへ、社内から社外へ価値の提供を拡大し、より良い社会の構築に向けて進化します。

この記事について

執筆者 貴田 守亮

EY Japan チェアパーソン 兼 CEO ジャパン・リージョナル・マネージング・パートナー

戦略の遂行者。革新的な技術やソリューションを通してクライアントのビジネスに変革をもたらす。ダイバーシティー&インクルーシブネス(D&I)を次世代のために強力に支持。ピアニストであり、水泳を趣味とする。