第1章: 公共の利益に貢献する
品質の重視
監査人としてのEYの役割は、公共の利益に貢献すること、および質の高い監査の提供を通じて資本市場への信頼を構築することです。Sustainable Audit Quality(以下「SAQ」)プログラムは、質の高い監査を全世界で一貫して実行していくという私たちのコミットメントです。
これは、監査品質を常に最優先課題として取り組むというEYの決意を表しています。私たちの意思決定における唯一かつ最も重要な要素であり、プロフェッショナルとしての評価を支える重要な指標でもあります。
EYは、分野横断的なプロフェッショナル・サービスの提供という自らのビジネスモデルを重視しています。これにより、EYの他のサービスラインに従事するメンバーが持つスキルと知識が、広範囲かつ奥行きのある技術的スキルと業界経験を提供してくれます。このスキルと経験は、質の高い複雑な監査を実現するために必要となるものです。またEYは、こうしたビジネスモデルを通じて十分な規模とリソースを手に入れることで、情報の収集・分析方法を再構築する最先端のテクノロジーへの投資が可能となります。
世界で最も信頼される、特別なプロフェッショナル・サービスを提供する組織として長期的価値を創出すること。これは、EYがNextWaveで掲げた目標において不可欠な要素です。従って、私たちの目標は、最も信頼される監査人になることです。
その達成度合いについては、監査監督機関国際フォーラム(以下「IFIAR」)の規制当局による外部検査指摘率に基づき測定します。当局メンバーには、グローバル監査品質(GAQ)のワーキンググループ(現在は、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、オランダ、シンガポール、スイス、米国、英国の10カ国の規制当局で構成)が含まれます。
外部検査指摘率は、各規制当局が定義する不備率に基づくもので、規制当局ごとに検査サイクルが異なるため、社会的影響度の高い事業体(以下「PIE」)に対する直近に完了した検査を基準としています。監査業務の多くは依然として人の労力に依存しており、本質的に過誤のリスクが伴うことを私たちは認識しています。しかし、私たちが目指しているのは、EYの監査において重大な不備が存在しないことです。
外部検査
2015年、IFIARはグローバルな監査法人ネットワークに対して、上場PIEに対する監査における「不備のある監査(1つ以上の重大な指摘事項のある監査)」を2019年までに25%削減するよう求めました。EYは2019年にこの目標を達成しました。
IFIARは、グローバルな監査法人ネットワークに対して新たな目標を設定し、25カ国の上場PIEに対する監査における「不備のある検査」を、2023年までにさらに25%削減するよう求めています。EYは現在この目標に取り組み、順調に進んでいます。ただしこの指標はある時点での測定値であり、結果が変わる可能性もあります。
内部検査
監査エンゲージメントに対する内部検査も毎年行っています。EYのリーダーシップは、メンバーファーム、地域、グローバルの各レベルでの品質管理システムを評価するための重要な要素として、年次品質管理レビュー(以下「AQR」)プログラムを実施しています。AQRプロセスの結果はグローバルに(エリアおよびリージョンを含む)集約され、継続的な改善の必要性がある主な領域も示されています。以下がその結果です。
* このような指摘事項により、追加の監査手続きや文書化が必要になる場合があります。しかし、その性質を考えると、これらの事項が監査全体の結論に大きな影響を与えることはないと考えられます。
** 財務諸表または監査報告書にとって重大な、または、EYの方針に従って実施されなかった、手続きまたは文書化における指摘事項。
EYがリスクを管理し、公共の利益に貢献する上で重要なのは、EYの全てのサービスにおいて品質を高める努力を継続していくことです。これには、SAQプログラムをしのぐほどの努力が必要です。
私たちは全サービスラインで、各分野の最も優秀な人材の採用、研修、維持に投資しています。エリアを超えて優秀な品質管理部門とプロフェッショナル・プラクティス部門に投資し、EYのメンバーに助言と支援、有効性を提供することで、全世界で一貫して高い水準を目指す品質向上活動を実施しています。
これらの部門は、リアルタイムでクライアントの監査エンゲージメントについて助言し、EYのグローバル品質レビュープログラムを運用します。このプログラムは、監査エンゲージメントの品質と、EYのポリシーおよびプロフェッショナル基準への適合を評価するものです。品質レビュープログラムの結果は、リスクマネジメント部門とグローバルエグゼクティブに報告されます。
監査の品質はEYの組織全体の基本的な戦略目標であり、EYの全てのサービスおよびメンバーファームのパートナー全員を対象とする6つのグローバルパフォーマンス指標の1つとして組み込まれています。私たちは、世界中の規制当局や基準設定機関と定期的に会合を持ち、EYのビジネス、監査という専門職の質を向上させるための新たなトレンドや機会、監査におけるEYの監査人としての役割について議論しています。
第2章: 経営責任
最高の倫理基準の順守
EYは、人権保護、国際労働基準の順守、環境保護、あらゆる形態の贈収賄や腐敗への反対など、最高の倫理基準を順守するよう努めています。私たちは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の10原則と国連の持続可能な開発目標(以下「SDGs」)をEYの戦略、文化、事業に取り入れるするべく尽力しています。
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サマリー
私たちの日々の業務、すなわち、資本市場に対する信用と信頼を構築することが、やがては社会にとっての長期的価値を生み出すと、EYは確信しています。私たちはまた、ビジネスには社会が直面する最も困難な問題の解決に向けて果たすべき役割があると考えています。