ただ「デジタルを取り入れる」のではなく、「医療のデジタル化」を進めるにはどうすればいいのかを医療機関は知りたいと考えています。
「医療イノベーションの加速に伴い、現時点では想像もできない近い将来の診療モデルを創り出すには?」という質問への答えとして、このテーマに基づいた5つの新しい視点を提示します。
最初の視点ではスマートヘルスを紹介し、ヘルスシステムが世界中でよりスマートになるにつれて可能性が高まる技術を考察します。情報をデジタル化するだけでは、シームレスでつながりのある診療という最終目標の達成には遠く及びません。未来へと歩みを進めるためには、医療システムや病院は、革新的なテクノロジーを受け入れ、新しい専門的スキルセットを採用し、エコシステム全体を極めて高度にネットワーク化することを許容する必要があるでしょう。
2つ目の視点ではスマートホスピタルについて考え、「スマートホスピタルをいかに実現するか」という質問にお答えします。スマートホスピタルは、高度につながった、インテリジェントかつ患者中心で、信頼性が高く持続可能な病院です。それを可能にする鍵となるのが先進テクノロジーですが、スマートホスピタルの構築は単なる技術的プロジェクトではありません。スマートヘルスの道に足を踏み出すには、既知の課題、堅固な変革管理および経営幹部のリーダーシップそれぞれについて慎重に検討する必要があります。
次にデータに着目しましょう。優れたデータなくして医療システムのスマート化はあり得ないからです。適切な場所で適切なタイミングでより良い診療を提供するには、データがすぐに利用できる状態にあることを前提とした情報アーキテクチャが必要です。ここでは、未来のヘルスケア業界におけるデータ中心の基盤を形成している5つのトレンドを探ります。
4つ目の視点では、スマートエクスペリエンスについて取り上げます。患者を重視することは、臨床的にもビジネス的にも理にかなっています。総体的な医療におけるエクスペリエンス全体を向上させることで、患者と医療従事者の双⽅が得ることのできるメリットを、⼗分に理解しておく必要があります。未来のスマートヘルスシステムでは、患者や医療従事者のエクスペリエンス改善に焦点を当てることが重要になるでしょう。
そして最後に、オンライン診療の採用に対するCOVID-19パンデミックの影響と、これらの新しいケアモデルの将来の持続可能性を検証します。米国の患者と医師を対象とした調査によれば、今回のパンデミックによって、よりスマートなヘルスケアに向けた競争への口火が切られたことが分かります。医療テクノロジーの採用は現に加速しており、デジタルファーストの診療を創り上げることの技術的フィージビリティに関する先入観は大半が払拭されています。
サマリー
スマートヘルスはヘルスケアビジネスを再定義するものであり、医療サービスの提供をより患者中心へとシフトさせ、それによって医療事故を減らし医療の質を高めます。