EU、暗号資産の税の透明性ルールに関する指令草案を公表

  • 欧州委員会は、経済協力開発機構(OECD)の暗号資産に関する報告規則を実施するための指令の改正案を発表しました。
  • この規則は、欧州連合(EU)域内の顧客に暗号資産サービスまたは電子マネーサービスを提供する事業者に対して2026年を初回とする報告を義務付けるものです。
  • 規則案には、情報の自動交換の違反に対する最低罰則の設定や、富裕層を対象とする規定など、情報の自動交換に関する既存の規則の更新も含まれています。

エグゼクティブサマリー

2022年12月8日、欧州委員会(以下、「委員会」)は行政手続きに関する指令(DAC)の改正法案を発表しました。これは、暗号資産市場(MiCA)に関する規則に定められた暗号資産などの所得や資産を、自動情報交換(AEOI)の範囲に含めることを提案しています。

これらの規則は、OECDの暗号資産報告フレームワーク(CARF1をEU法に導入するもので、開始日は2026年1月1日と提案されています。しかし、これらの規則は、OECDの暗号資産規則や共通報告基準(CRS)の改訂版よりも進んでおり、影響を受ける組織は、EU域外の事業者であっても、特定の状況下では、EU域内での報告を求められるなど、その違いを認識する必要があります。

この提案はまた、EUにおけるAEOIの規則に対して、電子マネー機関を報告範囲に加え、EU全域での最低罰則を設定することなどが含まれています。また、富裕層に対する税務当局による報告の強化、銀行や金融機関による金融口座に関する報告、納税者番号(TIN)の検証ツールの導入など、報告範囲の拡大も含まれます。さらに、DACの下で交換される情報は、制限的措置(EU制裁)の違反や回避の検知に利用することができます。

同日、委員会は、2023年2月2日を期限として、この法案に関する意見を求めるパブリックコンサルテーションも開始しました

 

本アラートの詳細は、2022年12月9日付EY Global Tax Alert 「EU publishes Directive proposal on tax transparency rules for crypto-assets」(英語のみ)をご覧ください。

巻末注

  1. 2022年4月12日付 EY Global Tax Alert 「OECD releases Consultation document: Crypto-Asset Reporting Framework and Amendments to the Common Reporting Standard」をご参照ください。

お問い合わせ先

Joris.van.Huijstee@jp.ey.com Joris van Huijstee シニアマネージャー

Hideki.Ohori@jp.ey.com 大堀 秀樹 ディレクター

※所属・役職は記事公開当時のものです

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