EY新日本有限責任監査法人 メディア・エンターテインメントセクター
公認会計士 公認会計士 齊藤 寛幸/和田 益知
近年は社会のデジタル化を背景に、広告業界においても、インターネット広告が、ますます広がりを見せています。インターネット広告の主な累計は、<図表1>の通りです。なお、文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であることをあらかじめ申し添えます。
<図表1> インターネット広告の主な類型
類型 | 内容 |
ディスプレイ広告 (純広告、バナー広告等) |
サイト内で決定された枠を一定期間買い取り、テキストや画像、動画等で表示される広告であり、料金形態としては、期間保証型(一定期間の掲載を保証)やインプレッション保証型(指定されたインプレッション数の保証)等があります。 |
ネイティブ広告 | SNSやニュースサイト等で記事やフィードに交じり自然な形で表示される広告であり、料金形態としては、インプレッション課金型、クリック課金型等があります。 |
リスティング広告 | 検索エンジンにおける検索結果ページやサイトの記事等に連動して表示される広告であり、料金形態としては、ユーザーのクリック数を指標としたクリック保証型(一定のクリック数を達成するまで掲載)、クリック課金型等があります。 |
アフィリエイト広告 | ウェブサイトやブログ等に広告主サイトへのリンクを張り、広告主が設定した成果が発生した場合に、広告主から報酬を受ける広告であり、料金形態としては、成果報酬型が代表的です。 |
動画広告 | 動画共有サイトに動画コンテンツを投稿する広告であり、料金形態としては、視聴課金型(ユーザーが動画広告を一定時間視聴すると課金する形態)が代表的です。 |
SNS広告 | LINEやYoutube等のSNSを通じソーシャルメディアへ情報を広める広告であり、料金形態としては、クリック課金型が代表的です。 |
インターネット広告における収益認識については、マス4媒体(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)と同様、メディアに広告出稿がなされた時点で、当該サービスに対する支配が広告出稿主に移転し、履行義務が充足されると考えられるため、メディアに広告出稿がなされた時点で収益を認識することになると考えられます。
ただし、リスティング広告やアフィリエイト広告においては、クリック数が取引上の指標となることから、実務上、運営企業やASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)からの報告に基づいて収益を認識することになると考えられ、収益の認識に当たって第三者からの報告が必要となるため、適時に報告書を入手できる体制を構築しておくことが必要と考えられます。