2. 非欧州企業グループが適用対象に加わったことによる影響
28年度から適用対象となる非欧州企業に該当する場合は、グループベースでの開示について、いつからどのような方法で対応するのかの議論ともいえます。
次の項目で該当が多い場合、最終親会社でのグループベースの開示を行う素養が備わっていると考えられます。
① 既にグローバルの子会社各社から関連情報を入手している(既に保証も受けていれば+α)。
② 欧州に重要拠点が集中していて、アジア・北米に拠点が少ない(欧州だけの対応とグローバル対応を比較して、追加コストが少ない)。
③ 欧州に統括会社がなく、本社からの直接投資(兄弟会社)がいくつもある(欧州会社数分のレポートを作成するとコスト面で非効率)。
④ 最終親会社が日本のプライム市場上場企業でTCFD開示をしており、かつ、既にGRI開示基準※2を参照して開示を行っている(ESRSをグループベースで適用するに際し、新たな開示項目が少ない)。
⑤ 28年から適用開始となる非欧州企業グループ開示の対象となる。
ただし、22年11月7日に金融庁より「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正案が公表され、日本でも有価証券報告書におけるサステナビリティ情報にかかる開示制度が急速に整備されつつありますので、最終親会社でのグループベースの開示については、日本での開示動向を見ながら検討いただくのも一案です。
3. ESRSとISSBのサステナビリティ開示基準
IFRS財団が公表を予定している国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)とESRSとはそれぞれでマテリアリティの概念が異なるため、開示項目も必然と異なります。日本本社においてグループベースでISSB基準を適用する場合、ESRSとISSB基準の基準差について分析を行い、不足情報についての追加開示が必要となることに注意が必要です。