これまで紹介してきたように、EYのDigital Auditの要素のうちConnectingおよびAnalyzingは昨今のビジネス環境の変化に対し、ITの活用や進化を通して監査業務やデータ分析の変革を推し進めてきました。リモートワークが進む中においても、クライアントの皆さまおよび監査チーム内における連携を今まで以上のレベルで実現することで監査の生産性を維持向上させることができました。
また、従来の紙面やヒアリングに加え、より詳細かつ網羅的なデータを用いた分析技術および視点を織り込むことで、異常点への着眼力を高め、監査の高度化を図ることで品質の向上も図っています。活用できるデータをより多くすることで得られる分析により、リスク評価にとどまらない監査証拠を構築し、結論を導き出すための取り組みを今後も進めていきます。
一方、棚卸の立ち合いや監査証拠の原本確認が必要な状況がなくなった状況ではないことをとっても、被監査会社への往査をゼロにするわけにはいきません。そのため、監査チームメンバーが会社にお伺いして監査証拠の原本をPDF化して監査ツールに格納し、その作業が完了次第帰宅して在宅勤務を行うという方法を多く採用しています。新たなテクノロジーが大きく業務の変革を進めている中においても、リモートであるがゆえに現地見分であれば発見できるようなリスクへの着目は今まで以上に増すと考えられます。
これらの取り組みに当たっては、クライアントとの協力が不可避です。新たなコミュニケーションツールの導入には従来の手順からの変化が必要であり、IT部門を含めた事前の調整が必要です。また、会計仕訳のデータを含め、分析ツールの活用はクライアントの皆さまから得られる標準化されたデータが鍵となり、これらのデータの程度や粒度が大きく左右されるため、実現に向けてはクライアントの皆さまとの協議を継続的に行っていく必要があります。