マネジメントアプローチによる「セグメント情報等の開示に関する会計基準」の公表によって財管一致を導入する企業が増えたのは事実ですが、当該会計基準が完全な財管一致を求めているかについては、見解が分かれます。
マネジメントアプローチは完全な財管一致を求めているとする考え方は、マネジメントアプローチの「投資家に対して経営者が経営判断に用いている情報と同じ情報を提供する」という基準の趣旨を論拠としています。
この考え方に基づけば、財務会計と管理会計は全社連結レベルでは完全に同一の結果となることが求められます。そのため、この考え方を採用する企業は、セグメント情報の作成において、グループ個社の財務諸表数値はもとより、連結手続についても財管同様に実施することで、企業における数値の一元化を図ります。
一方で、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」の83項には「財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠することを求めない」とも記載されています。マネジメントアプローチは完全な財管一致を必ずしも求めるものではないとする考え方は前述を論拠としています。
どちらの考え方を採用するとしても、開示される情報としては、全社連結結果は財管が一致している必要があるとともに、各報告セグメントの数値に客観性、信頼性が求められます。