2. 開示提言の部分的変更や追加
TNFDのフレームワークはもともと、既存の情報開示フレームワークであったTCFDをベースとして構築されており、どの箇所をcarry over(持ち越し)、adaption(適用)し、additional(追加)するかの検討を経て構築されてきています。
TNFDのベータv0.1版が発行されたときには基本骨格はTCFDそのままに、少し変更点が入っている程度でしたが、より検討が進み、今回のv0.3版にて下記4点の大きな更新がありました。(これまでの変遷を図2-1にまとめています。)
① ベータv0.1版ではTCFD提言の文言がそのまま記載されていた「指標と目標」の項目B(「気候への影響〈GHG排出量の開示など〉」)がTNFD用に適用され、自然に対する依存と影響についての情報開示がうたわれた。
② 複数の開示提言(各ピラーの項目)において、「自然関連の依存と影響」が「リスクと機会」と併記された。
③ これまで「リスク管理」のピラー(柱)だったものに「リスクと影響の管理」のように「影響」が追記された。
④ 自然関連の依存、影響、リスクと機会の特徴を捉えるべく、以下の重要な3点が情報開示提言として追加された。
(i) トレーサビリティ(提言ではインプット源の特定のアプローチとして記載)
(ii)ステークホルダー(権利保持者を含む)、エンゲージメントの質
(iii) 気候変動におけるネットゼロと生物多様性におけるネイチャーポジティブを同時に達成するための統合型移行計画の重要性増大に伴う気候と自然関連目標の整合