第1章
真に重要な課題に焦点を当て、行動を喚起し、価値を引き出す
情報開示は、重大なリスクに加え、価値創出の機会に関する高度なインサイトを提供するものでなければなりません。
投資家が企業に求めているのは、再生可能エネルギーがもたらす好機から、レピュテーションリスクを最小限に抑えるための企業倫理の重要性まで、サステナビリティ関連の重大なリスクと長期的価値を高める機会に焦点を当てた対応です。真に重要な課題に焦点を当て続けることで、行動を喚起し、より多くの財務価値を創造することができます。
今回の調査で、環境・社会・ガバナンス(ESG)の3つの柱について、企業はどこに注力すべきかと投資家に尋ねたところ、各柱の上位2項目は以下の通りでした。
当然のことながら、投資家にとって重要な課題に焦点を当てて取り組むことは難しい場合もあるでしょう。企業で情報開示を担当する責任者は、投資家が何を重要だと考えているかを読み取った上で、それを評価と情報開示のプロセスに落とし込む必要があります。企業が投資家からESG関連のさまざまな問題に関する質問書を多数受け取った場合には、それぞれ異なる情報要請の中で、どれが本当に重要であるかを確認することは難しいかもしれません。
投資家は、顧客から地域社会まで各グループに決定事項が及ぼす影響を明確に示すマルチステークホルダーモデルを情報開示に取り入れることを期待すると回答しています。今回の調査では、対象となった投資家の82%が「投資家やアナリストにとって重要なESGの課題に関する情報開示はもちろんのこと、政府、消費者、従業員、地域社会などさまざまなステークホルダーと向き合うために、企業はさらに努力する必要がある」と回答しました。ところが、調査対象となった財務部門のリーダーのうち、他のステークホルダーと向き合うために、企業はさらに努力する必要があると感じている人は55%にとどまっています。
従業員などのステークホルダーグループが、サステナビリティへの取り組みの目標やスケジュールをより意欲的なものにすることを企業に期待している可能性があることを考えると、一部のステークホルダーグループの強い感情を過小評価してしまい、解決する側の一端を担うのではなく、問題となる側の一部だとみなされる企業が出てくる可能性もあります。今回の調査で特に強く求められていたのは、企業による脱炭素化の迅速化です。調査対象となったほぼ全ての投資家(99%)が、すでにポートフォリオのネットゼロ化を図っているか、今後2年間で図る予定です。
投資家はネットゼロを重視
64%自社は、表明された取り組みにすでに参加し、ポートフォリオのネットゼロ化を図っていると回答した割合。
投資家はネットゼロを重視
35%現在は参加していないが、今後2年間で参加する予定だと回答した割合。
投資家が見せるネットゼロ重視の姿勢と、取り組みの進捗状況には大きな隔たりがあるのが現状です。地球温暖化を、産業革命前の水準プラス1.5℃に抑制するというパリ協定の目標を達成するためには、世界のCO2排出量を2030年までに45%削減しなければなりません1。しかし、その期限が迫る中、直近のEY Sustainable Value Studyの結果から、企業のわずか35%しか、2030年までの排出量の削減に取り組んでいないことが分かりました。
投資家は、気候危機に関心を払っていないと見られる企業や、動きが遅すぎる企業への圧力を強めています。今回の調査から、投資家は今後、主に経営に関与する戦術を用い、対話を開始するか、サステナビリティのパフォーマンスを役員報酬に連動させることを重視するよう求める方針であることが分かりました。約10人に1人(9%)は、自らが取る最も重要な対策はダイベストメントになると回答しました。
このように行動を求める声が高まり、企業は気候情報開示の有効性に対する大きな責任を負わされています。ところが、2022年度のEYグローバル気候変動リスクバロメーターで、47カ国にわたる1,500社超の企業が行った情報開示を包括的に分析した結果、気候変動リスクを開示する企業は増加しているものの、企業が直面する課題について意味のある開示が必ずしもなされていないことが分かりました。例えば、調査対象企業の半数強(51%)は、シナリオ分析を実施していないか、分析結果を開示していません。
おそらく課題に対するこうした洞察力の欠如が、企業のサステナビリティ情報開示に対する懐疑的な声の強まりを招いているのでしょう。その信頼性だけでなく、透明化に本当に取り組んでいるのかにも疑いの目が向けられています。
- 調査対象の投資家の76%が「企業は投資家にどの情報を提供するかの選択に非常に慎重になっており、それがグリーンウォッシングの懸念を招いている」と回答。
- 調査対象者の88%が「規制要件に定められていなければ、ほとんどの企業は、判断に有益なESG開示情報を限定的にしか提供していない」と回答。
投資家が気候変動対策で生まれる機会についてのインサイトを求める中、価値主導型のサステナビリティ(value-led sustainability)が大きな注目を集めている
気候変動がもたらす課題への対処が急務となっていることから、同じく気候変動がもたらす価値創出の機会にあまり関心が向けられていないのではないかという懸念も聞かれます。しかし今回の調査の結果から、投資家は、少なくとも機会とリスクのバランスの取れた評価が行われることを強く望んでいることが分かりました。多くの回答者が、移行リスクや物理的リスクばかり重視する企業の姿勢を最も懸念する一方、3分の1近く(31%)はすでにその先を見据え、気候変動対策で生まれる機会に企業がどのように狙いを定めているかを理解することが、自分たちにとっての主要な課題だと回答しています。
この結果は、結局のところ投資家が重視するのはリターンであることを反映していると言えそうです。そのため企業は、サステナビリティのリスクと機会を、増益など財務的リターンにつなげる方法を改善する必要があります。EY Sustainable Value Studyの結果から、サステナビリティに対する包括的な変革アプローチは、財務、顧客、従業員、社会、地球に、企業が想定する価値以上のリターンをもたらすことが分かりました。
経営幹部に適切な知見と専門知識がなければ、このつながりを理解し、発信することはできません。つまり財務部門のリーダーは、サステナビリティリテラシーの向上を図る必要があるということです。また企業内でサステナビリティの取り組みを主導する責任者もやはり、財務リテラシーを構築しなければならないでしょう。現在の企業全体に言えることですが、サステナビリティの優先課題と財務価値の間のつながりに関する専門知識と理解を深める必要があります。従来の経済モデルと専門知識だけでは、その役割を果たすことができないかもしれません。
第2章
ガバナンスと説明責任の枠組みを構築し、成果を上げる
投資家が求めているのは、サステナビリティ戦略とその成果を巡る強固なガバナンス体制と取締役の監督機能です。
投資家は、企業がパーパスステートメントを発表するだけの姿勢から脱却し、自社の戦略や意思決定にサステナビリティを真に組み込もうとするのであれば、取締役会が中心的かつ明確に定められた役割を担うことを含め、強固なコーポレートガバナンス体制の整備が不可欠であることを認識しています。サステナビリティをガバナンス体制に組み入れる際の優先課題は、取締役会の監督機能の実効性確保、サステナビリティの指標と役員報酬、戦略のすり合わせの3つです。
取締役会の監督機能の実効性確保
ガバナンスモデルや取締役会の役割・責任は国や地域により異なるでしょうが、取締役会はサステナビリティへの取り組みで、以下のような重要な役割を果たさなければなりません。
- サステナビリティ計画について、建設的な議論のための疑問を経営陣に対して投げかける
- 掲げた目標に対する実施状況と進捗状況を監督する
- サステナビリティ計画と進捗状況について投資家と対話をする
しかしこれを実現するために、企業は取締役会のメンバーに、その役割を果たす上で必要なサステナビリティに関する十分な知識を身に付けるよう求めることが必要になるかもしれません。サステナビリティに関する深い知識と、取締役会レベルで業務を遂行する能力を兼ね備えた上級管理職はいるものの、需要と供給は一致していません。供給が増えるまでは、地球と社会がどのように変化していて、それが自社にとってどのような意味があるのかを分析する上で必要な知識を、まずは取締役会のメンバーが身に付ける必要があります。今回の調査で投資家に、監督機能に最も大きなプラスの影響を与えると思われる対応を1つ挙げてもらったところ、回答者の5人に1人以上(21%)が「外部の専門知識に触れ研修に参加して、ESGの課題に関する取締役会の知識とスキルを高めること」を選びました。
役員報酬に非財務のサステナビリティ指標を組み込むことで、説明責任を強化する
今回の調査で、サステナビリティ目標の達成度を役員報酬の主要な算定基準にすることの主なメリットを2つ挙げてもらった結果、対象となった投資家の3分の1以上(37%)が「ESGの課題を戦略的な意思決定に確実に組み込めること」と答えました。このことは、サステナビリティを周辺課題として検討するだけでなく、リーダーが従来の財務や資本配分の意思決定に置くのと同じだけの重みをサステナビリティにも置いて考慮することが、投資家にとっていかに重要であるかが改めて裏付けられました。
言うまでもなく、説明責任を果たすための体制を整えるのは大変なことです。例えば、短期的な年俸や賞与と、評価期間が5年から10年に及ぶことが多いサステナビリティ目標を連動させることは、困難を伴う場合があります。また、数値化できる指標を選定し、それに照らして達成度を測定するという作業も簡単ではありません。ですが、今回の調査結果で示されたような、サステナビリティを組み入れた報酬の設定について投資家が何を期待しているかをよく理解することは、その良い出発点となるでしょう。
最高サステナビリティ責任者(CSO)の関与と役割を明確にし、サステナビリティの戦略上の重要性を高める
サステナビリティ推進のためにどのような組織体制にするかは、組織の複雑さから、サステナビリティ目標がどの程度意欲的なものであるかまで、一連の要因により変わってきます。一方、今回の調査から、投資家がCSOをガバナンスの枠組みに欠かせない存在と位置付けていることが分かりました。これは、現在のガバナンス構造が機能していないのではないかという業界での懸念を反映していると言えそうです。
CSOの主な役割
94%企業はCSOを任命して、サステナビリティ担当の経営幹部を置くべきだと考えている調査対象の投資家の割合。
CSOの任命を良い案だと投資家が考える理由を理解することで、おそらく企業は、CSOの役割と任務をどのようなものにするべきかのイメージをつかむことができるでしょう。今回の調査で、CSOを置くことの主なメリットを投資家に尋ねたところ、4分の1以上(26%)が、CSOは「企業のビジネスモデルに影響を及ぼす可能性のあるESG関連の長期的なリスクと機会に戦略的な視点」を持ち込むことができると回答しました。つまり投資家は、サステナビリティがビジネス上の重要な課題として扱われることを何よりも望んでいるのです。これは、サステナビリティを戦略上の重要課題ではなく、企業の社会的責任から発展した周辺的な「活動」とみなす企業が多すぎると、投資家がいまだに懸念していることの表れだと言えそうです。
第3章
サステナビリティ情報開示とデータ保証への意欲的なアプローチ
情報開示の国際的な基準がどのようなものになるかを予想し、サステナビリティ情報開示の保証の有効性を高めます。
「コーポレートレポーティングでESGの信頼格差を解消するには」でEYが述べたように、企業のサステナビリティ情報開示は、その企業の業績、リスク、長期的な成長見通しの各面にサステナビリティの課題が与える影響を把握する際に、投資家が参考とする重要なインサイトの1つです。現在、調査の対象となった投資家の99%が開示されたESG情報を投資の判断材料の1つとして活用しており、そのうち74%が強固かつ構造的なアプローチをとっています(ちなみに2018年度のEYの投資家調査では、構造的なアプローチをとっていたのは32%で少数派だったため、74%というのは大幅に増加したことになります)。
その一方で、同じ調査結果から、自らの開示ニーズが満たされていないと感じる投資が多いことも分かりました。73%が「企業はおおむね、情報開示体制の一段の強化を図っておらず、投資判断に欠かせない財務情報開示とESG情報開示の両方には対応できていない」と回答しています。こうした食い違いへの対処に当たっての優先課題は2つあります。
- 新しく制定される国際的な情報開示基準に先手を打って対応する。情報開示を漸進的に改善してくことを避け、同業他社をリードする立場の構築を目指す。
- サステナビリティ情報開示の保証に有効性を持たせる上での独自の成功要因に取り組む。
新しく制定される国際的な情報開示基準に先手を打って対応し、優位な立場を確保し、漸進主義に陥ることを避けます。
投資家は、企業のESG情報開示の質と透明性を高める上で、グローバルに一貫性のある基準の重要性をはっきりと認識しています。
投資家はグローバルに一貫性のある情報開示基準を求めている
68%調査対象となった投資家の3分の2以上が、「ESG情報開示の国際的な基準を明確に定めていないために、企業のサステナビリティ情報開示に一貫性がなかったり、比較できなかったりする」と考えています。
現在、この課題への取り組みには期待が持てそうな進展が見られます。COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)26での国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)設立の発表を受けて、ISSBは2022年3月31日に最初の2つの公開草案(ED)を公表し、パブリックコメントを募集しました。1つは全般的要求事項について、もう1つは気候関連情報開示のテーマ別要求事項についての草案です。その後開催されたCOP27で、ISSBは、各国・地域による導入に向けた準備を支援する一連の施策を発表し、「早ければ2023年にも」最終基準を発行することを目指すと明らかにしました2。
どの時期に適用するかは、その国・地域により異なる可能性が高いものの、完全に「ルール化される」のを待つのは危険かもしれません。基準をできるだけ早く自主的に適用する企業が、競合他社を含め出てくる可能性があります。そうなればその先行企業は、業界のサステナビリティについての説明で初めにリードを奪えることになります。
先手を打ち、それに伴って避けられない課題の一部に対処することも、投資家などステークホルダーが歓迎する改善につながることも考えられます。先を見据えた大胆なアプローチにより、漸進主義に陥る危険を避けられる可能性が高まるはずです。ここで言う漸進主義とは、同業他社の情報開示をまねるだけで、「集団」から一歩先に抜け出そうとしないことを言います。EUのような機関が、より包括的な「欧州グリーンディール」政策の一環として企業サステナビリティ情報開示指令(CSRD)を出し、サステナビリティ情報開示を義務化する今、最高水準のサステナビリティ情報開示を実現することは、米国や欧州など世界の主要な経済圏での政府による投資という好機をとらえる上で鍵となるでしょう。
サステナビリティ情報開示の保証に必要な独自の成功要因に取り組む
ESG情報開示に対して、第三者の保証を取得するよう開示発行者に求める声も急速に高まってきました。機関投資家は、ESG情報開示の信頼性を信用するには、保証がベストプラクティスだという姿勢を明確に示しています。
保証は信頼と透明性に不可欠
90%調査対象の投資家のうち、ESG情報開示とデータについて、企業が独立した第三者によるチェックと保証を確実に受けることは重要だと回答した割合。そのうち33%が「極めて重要」と考えています。
企業は、義務化されていなくても保証を取得しようとしていますが、保証に注目する規制当局も増えてきました。すでに保証の取得が義務化された国・地域もあります。米国では米国証券取引委員会(SEC)が公表した気候変動関連情報開示に関する提案に、当初の要求事項としてスコープ1とスコープ2の排出量に対する「限定的保証」の取得、その後「合理的保証」の取得を求める措置が盛り込まれています。
こうした動きに伴って生じるのは、現行のデータがに保証審査を通るだけの厳密さを備えていると企業が果たして考えているのかといった疑問です。「コーポレートレポーティングでESGの信頼格差を解消するには」でEYが述べたように、自社の現行のESGデータが合理的保証に耐え得る水準を満たしているかを財務部門のリーダーに尋ねたところ、41%が「いいえ」と答えました。しかも、北・中・南米、欧州、アジア太平洋にわたって、「いいえ」と回答した財務部門のリーダーが過半数を占めた国が多数あります。
AIなどの先端テクノロジーは、そうした厳密さの不足に対処し、サステナビリティデータの質を高める上で不可欠なツールとなる可能性があります。テクノロジーを活用することにより、データを保護するための、極めて複雑で連携が必要な作業を調整できるだけでなく、データを分析して異常とリスクを検知できます。
財務チームと内部監査チームの任務と役割について、熟慮した上で賢明な選択をすることも不可欠となるでしょう。財務管理者には、財務諸表の保証とデータの質の問題に対応してきた経験が豊富にあります。この経験を、非財務保証の枠組みや「ディフェンスライン」の仕組みの策定に生かすことができます。ただし、このデータの性質を考えると、慎重な策定が必要となるでしょう。例えば、ディフェンスラインの効果を温室効果ガスの排出量データの集計において検討してみたらどうなるでしょうか。適切に計算されているかどうかは財務担当者がチェックできますが、データをきちんと精査するには、エンジニアなど社内のスペシャリストの手を借りる必要があるかもしれません。ディフェンスラインの担当を誰にするかを決めることは、解決すべき課題の1つにすぎません。
第4章
今後の展望
調査の結果から、ESGを長期的に重視する企業にとって、以下の4大原則が極めて重要となることが分かりました。
投資家のニーズをよりきめ細かく理解することは、資本市場と健全な関係を構築するために必要ですが、それ以外にも役立ちます。自らの考えを広げることもでき、その理解を踏まえて顧客から従業員を含むあらゆるステークホルダーの信用を、企業がどのように得るかの枠組みを決めることができます。今回の調査結果を踏まえると、ESGを長期的に重視し、信頼でき、社会の期待に応える会社だとみなされることを望む企業が優先すべき課題は4つあります。
- 高度なシナリオ分析で仮定をストレステストして、ネットゼロ戦略とより幅広いサステナビリティを見直すとともに、気候変動、自然環境への影響、社会的問題が自社にもたらす財務リスクと機会を完璧に把握します。リスクと機会の分析のバランスを取り、従業員の定着率を高めて離職者を減らすことから、顧客の購買決定を促すことまで、どこに対策を打てば財務価値をもたらすことができるかを理解します。
- 取締役会がそのサステナビリティ関連の役割、すなわち意欲度について経営陣と議論を深め、目標に対する進捗状況をモニタリングし、投資家などステークホルダーとの連絡窓口として機能する上で必要な構造と情報開示に関するインサイト、知識を確実に有するよう取り計らいます。取締役会の構造とプロセスの変革も必要となるが、取締役会のメンバーの考え方も重視しなければなりません。学習・能力開発関連の施策を整備し、取締役会のメンバーがイノベーションを推進し、思い込みや偏見を問題視し、急速に変化するサステナビリティを巡る複雑な環境にうまく対応できるようにします。
- ISSBの新たなサステナビリティ情報開示基準をはじめ、EUやSECが今後設けると思われる基準の策定と導入を、自社の情報開示にいち早く反映させ先行企業になる機会と捉えます。最終的な内容が示されるのを待つのではなく、新たな基準に先手を打ち、漸進的な改善以上の対応をして、サステナビリティ情報開示で同業他社をリードする存在になるという目標を設定します。
- サステナビリティ情報開⽰に対する第三者による保証の広がりに備えます。急速に発展するこの領域は経営陣に重要な課題を突きつけており、組織全体が保証に備えることが必要になります。企業は新たなプロセス、管理策、データストリームの策定を求められることになり、新たな説明責任モデルと、保証の枠組みやそれに対するディフェンスラインを構築する必要に迫られるでしょう。こうした取り組みは、多くの企業にとって重要な学びとなり、短期間で多くを学習することが求められると予想されます。
サマリー
サステナビリティへの取り組みを表明する企業はよく見られます。こうした対応は必要なものであり、また称賛に値しますが、社会経済のグリーン化から多様性に関するリーダーシップの強化まで、一連の取り組みの進捗が遅いことで、公約内容と同じだけその進捗状況にも注目が集まるようになってきました。企業と投資家のサステナビリティに対する認識を一致させることができれば、地球と社会が必要とする規模とスピードで成果を上げる可能性が高まります。