3. 製作委員会に関する法的位置付け
民法上の任意組合(民法第667条)等の組合契約に基づく出資は、金融商品取引法の適用対象となります(金融商品取引法第2条第2項第5号)。
しかし、わが国で組成されている製作委員会は、その契約条件・座組(ざぐみ)の状況から出資者全てが出資対象事業に従事することなど一定の要件(※)を満たし、公益又は出資者の保護のために支障を生ずることがないと認められる場合に該当するため、有価証券とは見なされず、金融商品取引法の適用除外となるケースが多いと考えられます。
(※)【金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令 第7条第1項第3号】
三 法人その他の団体が他の法人その他の団体と共同して専らコンテンツ事業(コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(平成十六年法律第八十一号)第二条第三項に規定するコンテンツ事業をいい、これに附帯する事業を含む。)を行うことを約する契約に基づく権利であって、次に掲げる要件の全てに該当するもの
イ 出資者(当該権利を有する者をいう。以下この号において同じ。)の全てが、当該権利に係る出資対象事業の全部又は一部に従事すること(出資者の親会社等(令第十五条の十六第三項に規定する親会社等をいう。ロにおいて同じ。)又は子会社等(同項に規定する子会社等をいう。ロにおいて同じ。)が当該出資対象事業の全部又は一部に従事することを含む。)。
ロ 出資者の全てが、当該権利に係る出資対象事業から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利のほか、次に掲げる権利のいずれかを有すること(出資者の親会社等又は子会社等が次に掲げる権利のいずれかを有することを含む。)。
(1) 当該出資対象事業に従事した対価の支払を受ける権利
(2) 当該出資対象事業に係るコンテンツの利用
(コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律第二条第二項第二号に掲げる行為をいう。)に際し、当該出資者(その親会社等又は子会社等を含む。以下(2)において同じ。)の名称の表示をし又は当該出資者の事業につき広告若しくは宣伝をすることができる権利
ハ 当該権利について、他の出資者に譲渡する場合及び他の出資者の全ての同意を得て出資者以外の者に譲渡する場合以外の譲渡が禁止されること。
4. 製作委員会に関する会計処理
わが国で組成されている製作委員会の契約条件・座組は多種さまざまですが、製作委員会に関する会計処理を直接的かつ体系的に定めた会計基準等はないため、実務上は関連する会計基準等を斟酌(しんしゃく)しつつ、各社の出資目的・製作委員会における役割等の経済的実態を適切に反映するように会計処理が行われています。