1. 海外からの人材受け入れに慣れていない
グローバル展開している外資系企業の場合、海外からの赴任者の受け入れから帰任までの手続きに慣れています。そのため、手続きに関するマニュアルはもちろん、担当者自身も経験豊富であることが多いのでスムーズです。
一方、日本企業の場合、海外から日本への赴任者の受け入れは、まだまだ非常に少ない状況です。そのため、赴任者が発生する都度、「このやり方で問題ないのか」「手続きに漏れがないか、税務面、社会保険面、法律面など、本当に正しい手続きが行えているのか」と不安を抱えているケースも見られます。
2. 税務等についても自前で対応するなど外部リソースの活用に慣れていない
外資系企業の場合、本社主導で世界中に拠点のあるグローバル展開をしている単一の会計事務所と契約しているケースが多くみられます。この方式だと担当者の手を煩わせることが少なく、会計事務所に全面的に任せることが可能です。
一方、日本企業の場合、各拠点任せになっているケースがまだ多いようです。この状況だと会計事務所間の情報連携ができないため、本社人事担当者の手間になります。
3. 統一的な異動ポリシー(Global Mobility Policy)が存在しない、存在しても機能していない
外資系企業の場合、世界共通の海外赴任時の異動ポリシーが存在し、それに基づいた運用がされています。
日本企業では、出向先である日本側に受け入れ経験が少ないだけでなく、出向元である海外現地法人にとっても社員を赴任させた経験がほとんどないことが多いようです。
そのため、出向元においても海外赴任に関する異動ポリシーは存在しません。または本社主導で異動ポリシーを作成してはいるものの、実務運用に耐えられる内容になっていないケースもしばしばみられます。
<外資系企業と比べた日本企業の受け入れ体制の違い>
① 海外からの人材受け入れ手続き
- 外資系企業:海外からの赴任者の受け入れから帰任までの手続きに慣れている
- 日本企業:経験が少なく全体的に不慣れ、手続きが正しいか自信がない
② 税務等の赴任元との統一感ある対応
- 外資系企業:本社が世界中に拠点のある会計事務所とグローバル契約
- 日本企業:それぞれの拠点任せ、連携が必要な場合は本社が介入する必要がある
③ 有効に機能している統一的な異動ポリシーの存在
- 外資系企業:世界共通の海外赴任時の異動ポリシーが存在
- 日本企業:都度条件を決めているに等しく、処遇が赴任元により統一性がない