(2) 生産工程効率化等設備等の導入
<表1>の要件のうち、①、②、④~⑥、⑦イを満たすことにより、事業適応計画の認定を受けた場合には、次の税額控除等を受けることができます。
炭素生産性が3年以内に7%以上向上:税額控除5%又は特別償却50%
炭素生産性が3年以内に10%以上向上:税額控除10%又は特別償却50%
* 炭素生産性=付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)/エネルギー起源二酸化炭素排出量
3. 適用に際しての留意点
① 本税制の検討開始から事業適応計画の認定を受けるまでは通常3カ月~6カ月程度を要します。
② 事業適応計画の認定以降に取得し、かつ、24年3月末までに事業供用する設備が対象です。なお、取得とは通常、資産の所有権を得たこと、つまり資産の購入、引渡しを受けたこと等を指します。
③ 貸付けの用に供する資産は税制の対象外です。したがって、会社が取得した設備を、子会社又は第三者に貸し付ける場合における当該資産は適用対象となりません。
④ 会社が保有する資産が対象になります。したがって、太陽光発電設備におけるPPA(パワー・パーチェス・アグリーメント)などは、通常はPPA事業者の所有資産であり、会社の資産ではないため、税制の対象となりません。
⑤ 2.(2)における事業適応計画の認定を受けるためには、原則として事業者全体で炭素生産性を7%以上(税額控除10%を利用する場合は炭素生産性を10%以上)向上させる目標を設定する必要があります。また、計画に記載された炭素生産性向上に向けた取組のうち、設備投資を実施する事業所(工場や店舗)の炭素生産性を1%以上向上させる設備が税制の対象になります。
⑥ 事業者全体の炭素生産性の向上目標を設定する上では、再エネへの切り替えによる二酸化炭素排出量の削減といった取組を含めても良いこととなっています。
⑦ 本税制の設備投資総額の上限は500億円です。また、税額控除の控除上限は、DX投資促進税制とあわせて当期の法人税額の20%です。
⑧ 設備投資について補助金を受けたことによる法人税法上の「圧縮記帳」と本税制の併用は可能です。圧縮記帳の適用を受けた場合は圧縮記帳後の金額に税額控除率等を乗じます。税額控除の適用を受ける場合は、圧縮記帳の適用を受けないほうが、税負担は少なくなります。