企業を取り巻くステークホルダーとの関係は、特にESG/サステナビリティの観点から近年大変革を遂げています。
企業の環境Environment、社会Social、ガバナンスGovernance(以下、ESG)について格付(以下、ESG格付)を取得し、一定のESG格付を得た企業を投資適格とする社会的責任投資(SRI)の運用スタイルが定着しています。近年、ESG格付において、税務ガバナンス及び税情報の開示に関する項目がガバナンスの評価に加わりました。日本企業においても、IRやサステナビリティ部門からの要請により、税務ガバナンス及び税情報の開示に取り組む企業が増加しています。
企業は、サステナビリティの観点からどのような税に関する開示を期待されているのでしょうか。企業の財務情報の開示とは異なり、サステナビリティなど非財務情報に関する開示範囲の定めはありません。各国の法規制を超えて企業自らが自主的な開示に取り組む、まさにガバナンスが求められています。
その一方で、企業側からは、サステナビリティの観点からの税情報の開示についての規範が待望されていました。日本企業を含む多くのグローバル企業は、Global Sustainability Standard Board(GSSB)が作成したGRIサステナビリティ・レポーティング・スタンダード※2(以下、GRIスタンダード)を参照して、サステナビリティ報告書においてGRIスタンダードとの対照表を示すのが一般的となっています。GRIスタンダードの経済に関する項目別スタンダードとして、GRI207:税金※3は21年1月1日から発効しており、税に関する取組み、税務ガバナンスやリスク管理、税務当局との関係などに加えて、国別報告(以下、CbCR)の開示も要求されています。日本企業でもGRI207との参照関係が対照表に示され、実際にCbCRの開示について検討する企業は着実に増えています。