国内のSSC(Shared Service Center)設立におけるロケーション選定について
情報センサー2019年7月号 EY Advisory
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(株)
Riskドメイン 于 鳳雷
大学院卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。長年、コンサルタントとして、BPO/SSCの初期構想・詳細設計・業務引継・本番運用に従事。2014年、当法人に入所し、18年1月にEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(株)に転籍。主にBPO/SSCのリスクアドバイザリーに従事している。
Ⅰ はじめに
日本国内では少子高齢化、労働人口減少に伴う人材不足が顕著となってきており、賃金も高止まり傾向にあります。その影響の下、経理・財務、人事・総務、調達等のバックオフィス業務の効率化の手段として、多くの企業がBPO(Business Process Outsourcing)やRPA(Robotic Process Automation)を導入していますが、業務を集約するSSC(Shared Service Center)設立も有効な手段として存在します。
今回は、SSC設立の初期検討時に直面するロケーション選定について、検討すべきポイントを考察します。ロケーション選定の主なポイントとしては、人材確保、立地条件の2点があり、それぞれについて詳述します。
Ⅱ 人材確保の観点
SSC運営の要は、業務を遂行するオペレーターの存在です。数十人から数百人の要員を採用し、一定品質を保ちながらSSCを運営していくためには、優秀な人材を常に(できれば低コストで)確保する必要があります。そこで、人材確保を重視した場合のロケーション選定においては、候補とする県もしくは市について<表1>の内容を確認、考慮する必要があります。
Ⅲ 立地条件の観点
次に、SSCを設立する立地条件を検討する必要があります。検討の際の主なポイントは<表2>のとおりです。
なお、近年は日本各所にて地震、台風などの自然災害が多発しており、これらを完全に回避できるロケーションを探すのは非常に難しくなってきています。
Ⅳ おわりに
インターネットの発達により、現地に足を運ばなくても、人材確保や立地条件の基礎的な情報は収集しやすくなってきました。しかし、例えば人材確保の最近のトレンドやインターネットなどに公開されていない事情、口コミでのオフィスビルの賃貸状況など実際に現地を訪問しなければ分からない情報も多く存在します。
最後に、過去に当社が支援したロケーション選定時のステップを紹介します。
Step1からStep5までは公開情報などを元にして候補地を選定し、Step6の段階で実際に現地に赴いて情報を収集した後に、最適なロケーションを選定しました(<図1>参照)。