重要なデータは中国国内で保存される必要があり、国外に提供する必要がある場合は、国家当局が実施する安全評価に合格しなければならないため、重要なデータを扱う企業は注意が必要です。
3. 個人情報保護法
個人情報保護法は21年に施行され、日本の個人情報保護法や欧州連合(EU)のGDPR(General Data Protection Regulation)に類似した法律であり、それまではさまざまな法律で部分的に定められていた個人情報について、初めて体系的に規定された法律となります。
個人情報とは、電子的またはその他の方法で記録された、特定のまたは識別可能な自然人に関するあらゆる種類の情報であり、匿名化された情報を除いたものを指します。
この点、匿名化されることにより個人情報の定義から外れることとなりますが、ここでの匿名化とは個人を全く特定することができないレベルでの処理であり、一部の情報をマスキングするなどの方法では、不十分な場合があると考えられます。
個人情報には基本情報から身分、生体認証、教育・仕事、財産、通信、健康など多岐にわたりますが、漏洩えいしたり不正に使用されたりすると、容易に自然人としての人格尊厳を侵害したり、人身や財産の安全を脅かしたりする恐れのある個人情報を「センシティブな個人情報」として、特定の目的と十分な必要性があり、かつ厳格な保護措置が取られた場合に限り処理することができるとされています。
個人情報を扱う際には原則として個人の同意が必要です。また、個人情報を扱う前に、明確かつ理解できるように個人に個人情報取扱者の名称や連絡先、個人情報の処理目的などについて告知を行う必要があります。
さらには、個人情報取扱者が中国国外へ個人情報を提供する場合、国外の移転先の名称、連絡先、目的、方法などを個人に告知し、個人の個別の同意を取得する必要があります。その上で、専門機関による個人情報保護の認定を受けるなどの一定の要件を満たす必要があります。