1. 会計監査のコンプライアンスの特徴
進出形態は内国法人(現地法人)、外国法人(駐在員事務所、支店、プロジェクトオフィス)がありますが、日本の会計監査の前提と次の点が大きく異なります。
(1) 会計監査対象および期限
規模などにかかわらず全ての拠点でインド勅許会計士の会計監査が義務付けられ、進出時から会計監査が必要となります。会社法の規定により決算期は3月に法定され※1、多くの日系企業が該当する非上場会社は決算日から6カ月以内に開催する株主総会の前に行う取締役会の決算承認までに会計監査を受ける必要があります。
また、関係会社を持つインド会社は非上場でも、単体に加えて連結財務諸表を作成し、監査を受ける義務があります。
(2) 会計基準
IFRSを基礎としたインド版IFRS(Ind-AS:Indian Accounting Standard)、現地基準であるインド会計基準(AS:Accounting Standard)があります。Ind-ASは全ての上場会社および純資産が25億ルピー以上の非上場会社に強制適用されます。自社はInd-AS適用対象外の会社でも、Ind-AS強制適用会社の持株会社、子会社、合弁会社、関連会社である場合はInd-ASの適用が求められますので、インド上場会社と合弁会社を設立する場合などは留意が必要です。
(3) 会計監査人ローテーションルール
過去の不正事件を受けて、監査人の独立性を維持するために一定の会社に会計監査人の強制ローテーションルールが導入されています(<表1>参照)。