1. 目的
「全般的要求事項」の目的は、一般目的財務報告の利用者が企業に経済的資源を提供すべきか否かに関する意思決定を行う際に有用となる、サステナビリティ関連リスク及び機会に対する企業のエクスポージャーに関する全てのMaterial(重要性のある)情報の提供を企業に求めることです。ここでポイントとなっているのは、あくまで経済的意思決定に資する情報提供であり、企業価値評価のための情報開示にフォーカスしている点です。
2. 重要性
前述の「重要性のある」情報とは、開示すべき情報として何が省略できるかという観点から述べられています。つまり利用者の経済的意思決定に影響を及ぼすと合理的に予想される情報を省略したり、誤表示したり脱漏した場合には重要性があるとされています。また、重要性は情報が関連する項目の性質や規模(その両方)に基づき企業固有のものという側面があり、基準案では重要性の閾(いき)値について明示されていません。
3. 4つのコアとなる要素
IFRSサステナビリティ開示基準が他の開示を認める又は要求する場合を除き、ガバナンス、戦略、リスク管理及び指標と目標について開示することが求められます。このアプローチは、IFRS財団が昨年公表した協議文書において求めた利害関係者からの意見を反映し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言しているフレームワークに基づいたものです。これら4つの内容はⅣの気候関連開示の要求事項で解説します。
4. 参照する基準
指標を含む重要なサステナビリティ関連リスク又は機会に関する開示を特定するためには、関連するIFRSサステナビリティ開示基準を参照します。特定のサステナビリティ関連事項に具体的に適用されるIFRSサステナビリティ開示基準が存在しない場合、経営者には目的適合性を有する開示を識別するために判断が求められます。この判断を行うに当たり、IFRSサステナビリティ開示基準の要求事項と矛盾しない範囲で、産業に基づく米国サステナビリティ会計基準審議会(SASB)の基準、ISSBの強制力は持たないガイダンス(水及び生物多様性関連の開示に関するCDSBフレームワークの適用ガイダンスなど)及びその他の基準設定主体の直近の基準等の文書に含まれる開示トピックに関連する指標を考慮することになります。