英国、不動産等の所有に係る海外事業体登録制度を施行

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2022年8月1日、英国において、不動産等の所有に係る海外事業体登録(Register of Overseas Entities)制度が施行されました。このうち、土地の登記に関わる規定は2022年9月5日に適用開始となります。

本制度の規定は遡及的な効力を有することに注意が必要です。物件を過去に取得した事業体は、1999年まで遡って登録を要求される可能性があります。

これらのルールを遵守しなかった場合、海外事業体の執行オフィサーが罰金および刑事罰を科され得ることも注意を要します。

規定の概要

英国内の物件または土地を購入、売却、または譲渡しようとする海外事業体は、企業登記局(Companies House)への登録を行い、登録対象である自社の受益所有者または執行オフィサーに関する情報を提供しなければなりません。登録を行った海外事業体には、固有の海外事業体ID(Overseas Entity ID)が与えられます。その後、海外事業体が英国の物件または土地を購入、売却、譲渡、リース、または担保権設定する際は、当該IDを土地登記所(Land Registry)に提示します。

この海外事業体登録制度における海外事業体とは、その準拠する法律に基づく法的人格であり、かつ英国外の国または地域の法律に準拠しているところの、法人、パートナーシップ、またはその他の事業体です。

2022年8月1日以降、新規購入者は、企業登記局への登録を行い、海外事業体ID番号を取得する必要があります。2022年9月5日までの間は、新規購入者が管轄の土地登記所において権原を登記する際に海外事業体ID番号は必要とされませんが、物件を売却するにあたっては当該番号が必要になります。2022年9月5日以降は、新規購入者が管轄の土地登記所において権原の登記を申請するにあたり、海外事業体ID番号が必要になります。

また、以下の期間に物件または土地を購入した海外事業体には、遡及的な登録義務が適用されます。

  • 1999年1月1日以降(イングランドおよびウェールズの場合)
  • 2014年12月8日以降(スコットランドの場合)

これらに該当する海外事業体は、2023年1月31日までに企業登記局への登録を行い、登録対象である自社の受益所有者または執行オフィサーに関する詳細を提供する必要があります。

北アイルランドの物件または土地については、購入が2022年8月1日以降の場合にのみ、登録が必要となります。

また、2022年2月28日より後に物件または土地を処分した事業体も、登録を行い、処分の詳細を提供する必要があります。

登録を行った海外事業体には、固有の海外事業体IDが与えられます。その後、海外事業体が英国の物件または土地を購入、売却、譲渡、リース、または担保権設定する際は、当該IDを土地登記所に提示します。

登録された海外事業体は、登録の1年後に年次更新書類を提出し、以後これを毎年繰り返す必要があります。

海外事業体がこれらの新たな義務を履行しなかった場合、その執行オフィサーが刑事罰および民事罰(罰金による)を科される可能性があります。当該海外事業体は、自社の不動産物件(ここでは、フリーホールド(自由保有)の土地と、権利付与日からの期間が7年超のリースの両方を含む)の売却、リース、または担保権設定に当たり、制限を課されることになります。

重要なアクション

以下を保有している可能性がある場合は注意が必要です。

  • 2022年8月1日以降に非英国事業体によって取得された英国の物件または土地
  • 2022年2月28日以降に非英国事業体によって処分された英国の物件または土地
  • 1999年1月1日以降に非英国事業体によって取得されたイングランドおよびウェールズの物件または土地
  • 2014年12月8日以降に非英国事業体によって取得されたスコットランドの物件または土地

EYはこれらのルールの適用範囲に含まれるかどうかの識別をサポートするとともに、登録要件に関するアドバイスを提供します。

お問い合わせ先

katsuko.shioya@jp.ey.com 塩谷 克子 パートナー

richard.johnston@jp.ey.com Richard Johnston アソシエートパートナー

rmckavanagh@uk.ey.com Rebecca McKavanagh シニアマネージャー

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