DX投資・カーボンニュートラル等に関するパブリック・コメント開始

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2021年7月1日 PDF
カテゴリー 税制改正関連

Japan tax alert 2021年7月1日号

2021年6月16日に、改正産業競争力強化法が公布されました。また2021年6月22日にDX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制等に関する省令等のパブリック・コメントも開始され、制度の詳細が明らかになり始めています。以下、税制適用手続等について、条文を中心に紹介します(下線部筆者)。

繰越欠損金の控除上限の特例は改正産業競争力強化法における「成長発展事業適応」に、DX投資促進税制は「情報技術事業適応」にそれぞれ対応しています。

各税制の適用を受けるための手続きの概要は、下記の通りです。

  DX投資促進税制 繰越欠損金の控除上限の特例 カーボンニュートラル投資促進税制
事業適応計画の認定(産業競争力強化法第21条の15等) 「事業適応計画の認定申請書」を主務大臣に提出し、認定を受ける必要あり

課税の特例(産業競争力強化法第21条の28等)

「成長発展事業適応又は情報技術事業適応に係る確認申請書」を主務大臣に提出し、確認を受ける必要あり 不要

なお、DX投資促進税制やカーボンニュートラル投資促進税制の対象となるソフトウェア等や設備等を、認定等を受ける前に取得した場合は、当該税制の適用は受けられませんので、ご留意ください。 

産業競争力強化法

第21条の15(事業適応計画の認定)

第1項 事業者は、その実施しようとする事業適応に関する計画(以下「事業適応計画」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、これを主務大臣に提出して、その認定を受けることができる。

第21条の28(課税の特例)

第1項 認定事業適応計画に従って実施される成長発展事業適応を行う認定事業適応事業者について欠損金を生じたときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、法人税に係る欠損金の繰越しについて特別の措置を講ずるものとする。

第2項 認定事業適応計画に従って実施される情報技術事業適応を行う認定事業適応事業者が、当該情報技術事業適応の用に供するために取得し、又は製作した機械及び装置、器具及び備品並びにソフトウェア並びに当該情報技術事業適応を実施するために利用したソフトウェアについては、租税特別措置法で定めるところにより、課税の特例の適用があるものとする。

産業競争力強化法施行規則の一部を改正する命令(案)

第11条の2(事業適応計画の認定の申請)

第1項 法第二十一条の十五第一項の規定により事業適応計画の認定を受けようとする事業者は、様式第十八による認定申請書を、主務大臣に提出しなければならない。

第11条の3(事業適応計画の認定)

第1項 主務大臣は、法第二十一条の十五第一項の規定により事業適応計画の提出を受けた場合において、速やかに同条第四項の定めに照らしてその内容を審査し、同項の規定に基づき当該事業適応計画の認定をするときは、その提出を受けた日から原則として一月以内に、申請者に様式第十八の二による認定書を交付するものとする。

第11条の17(成長発展事業適応に係る課税の特例)

第1項 法第二十一条の二十八第一項の主務大臣の確認を受けようとする認定事業適応事業者は、第十一条の二第一項の規定による認定申請書の提出又は第十一条の四第一項の規定による変更認定申請書の提出と併せて、様式第十八の十六による確認申請書を、主務大臣に提出しなければならない。

第2項 主務大臣は、確認申請書のほか、当該事業適応計画に係る成長発展事業適応が産業競争力強化法第二十一条の二十八第一項の規定に基づく経済社会情勢の著しい変化に対応して行うものとして主務大臣が定める基準(令和三年内閣府、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第 号。次項において「成長発展事業適応特例基準(注1)」という。)に適合することを確認するために必要と認める書類の提出を求めることができる。

第3項 主務大臣は、第一項の規定による確認申請書の提出を受けた場合において、速やかに成長発展事業適応特例基準に照らしてその内容を審査し、当該事業適応計画が産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和三年法律第七十号)の施行の日から一年を経過する日までに開始するものであり、かつ当該事業適応計画に係る成長発展事業適応が成長発展事業適応特例基準に適合するものであることを確認したときは、第十一条の三第一項の認定書又は第十一条の四第四項の変更の認定書においてその旨を表示するものとする。

第11条の18(情報技術事業適応に係る課税の特例)

第1項 法第二十一条の二十八第二項の主務大臣の確認を受けようとする認定事業適応事業者は、第十一条の二第一項の規定による認定申請書の提出又は第十一条の四第一項の規定による変更認定申請書の提出と併せて、様式第十八の十七による確認申請書を、主務大臣に提出しなければならない。

第2項 主務大臣は、申請書のほか、当該事業適応計画に係る情報技術事業適応が産業競争力 強化法第二十一条の二十八第二項の規定に基づく生産性の向上又は需要の開拓に特に資するものとして主務大臣が定める基準(令和三年内閣府、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第 号。次項において「情報技術事業適応特例基準(注1)」という。)に適合することを確認するために必要と認める書類の提出を求めることができる。

第3項 主務大臣は、第一項の規定による確認申請書の提出を受けた場合において、速やかに情報技術事業適応特例基準に照らしてその内容を審査し、当該事業適応計画に係る情報技術事業適応が情報技術事業適応特例基準に適合するものであることを確認したときは、その提出を受けた日から原則として一月以内に、当該認定事業適応事業者に様式第十八の十八による確認書を交付するものとする。

第48条(実施状況の報告)

第1項 認定事業適応事業者又は認定事業再編事業者は、認定事業適応計画又は認定事業再編計画の実施期間の各事業年度における実施状況について、原則として当該事業年度終了後三月以内に、認定事業適応事業者については様式第四十七により、認定事業再編事業者については様式第四十八により、主務大臣に報告をしなければならない。

第4項 第一項の規定による報告には、貸借対照表及び損益計算書を添付しなければならない。

第6項 主務大臣は、第一項の規定による報告を受けたときは、様式第五十の二により、当該報告書に係る認定事業適応計画の実施状況の概要を、又は様式第五十の三により、当該報告に係る認定事業再編計画の実施状況の概要を公表するものとする。

(注1)2021年6月30日時点で成長発展事業適応特例基準及び情報技術事業適応特例基準に関する告示は行われていません。

第51条(課税の特例等に関する報告事項)

第1項 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十六条の十一の四第一項又は第六十八条の九十六の二第一項の法人税に係る欠損金の繰越しについての特例措置を受けた認定事業適応事業者は、第四十八条第一項の規定による報告に併せて、当該特例措置による損金算入の額についても報告しなければならない。

第2項 租税特別措置法第十条の五の六第一項、第三項、第七項若しくは第八項又は第四十二条の十二の七第一項、第二項、第四項若しくは第五項若しくは第六十八条の十五の七第一項、第二項、第四項若しくは第五項の所得税又は法人税に係る課税の特例措置の適用を受けた認定事業適応事業者は、第四十八条第一項の規定による報告に併せて、当該特例措置の適用を受けた場合の償却限度額の範囲内で普通償却限度額を超えて償却する額又は当該特例措置の適用を受けることによる所得税額若しくは法人税額の控除額についても報告しなければならない。

第3項 租税特別措置法第十条の五の六第五項若しくは第九項又は第四十二条の十二の七第三項若しくは第六項若しくは第六十八条の十五の七第三項若しくは第六項の所得税又は法人税に係る課税の特例措置の適用を受けた認定事業適応事業者は、第四十八条第一項の規定による報告に併せて、当該特例措置の適用を受けた場合の償却限度額の範囲内で普通償却限度額を超えて償却する額又は当該特例措置の適用を受けることによる所得税額若しくは法人税額の控除額についても報告しなければならない。

申請書記載事項(案)

1)様式第十八(第11条の2関係)事業適応計画の認定申請書

1.事業適応の目標

(1)事業適応に係る事業の目標

(2)その事業の生産性を相当程度向上させること又はその生産し、若しくは販売する商品若しくは提 供する役務に係る新たな需要を相当程度開拓することを示す目標

(3)財務内容の健全性の向上を示す目標

2.事業適応の内容及び実施時期

(1)事業適応に係る事業の内容

(2)事業適応を行う場所の住所

(3)事業適応に伴う設備投資等の内容

(4)事業適応の実施時期

(5)事業適応の実施に必要な資金の額及びその調達方法

3.事業適応に係る経営の方針の決議又は決定の過程

4.その他

2)様式第十八の十六(第11条の17関係)成長発展事業適応に係る確認申請

1.成長発展事業適応の目標

2.事業適応計画の実施期間

3.特例事業年度及びその該当性

4.成長発展事業適応の内容

3)様式第十八の十七(第11条の18第1項関係)情報技術事業適応に係る確認申請書

1.情報技術事業適応の目標

2.情報技術事業適応の内容

(1)情報技術事業適応の具体的内容

(2)連携・共有するデータの類型

(3)産業競争力の強化に著しく資するものへの該当性

(4)売上高に占める投資額の割合(%)(注2)

3.情報処理の促進に関する法律第31条の規定に基づく認定に関する事項

4.その他

(注2)売上高に占める投資額の割合として、申請者の直近3事業年度の国内売上高の額(申請者が連結会社である場合は、その国内売上高の額)の平均値又はこれに準じた値に占める情報技術事業適応に伴う設備投資等の金額(申請者が連結会社である場合は、自己の設備投資等の金額に同一の連結の範囲に含まれる他の認定事業適応事業者の設備投資等の金額を加えて得た額)の割合及びその計算式を記載する。

今後の見通し

2021年6月22日のパブリック・コメントに掲載された資料により、制度の詳細が一定程度明らかになりましたが、2021年6月30日時点においては、成長発展事業適応特例基準及び情報技術事業適応特例基準に関する告示が行われていませんので、今後明らかになるものと思われます。

EYのサポート体制

EY Japanでは、EY税理士法人が持つ豊富な税務アドバイザリーの知見・経験と、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社が持つデジタルガバナンス関連の支援経験を融合させ、DX投資促進税制等への対応を支援する包括的なサービスを提供いたします。

また、カーボンニュートラル投資促進税制への対応についてもご支援いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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E-mail 加藤 城啓 シニアマネージャー

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