英国、義務的開示制度(MDR)法案を公表
Japan tax alert 2019年9月10日号
エグゼクティブサマリー
英国政府は、一定のクロスボーダー・アレンジメントに係る開示義務と情報交換に関する欧州連合指令(EU指令)を実施するための法案を公表しました。
すべてのEU加盟国は、2019年12月31日までに国内法でEU指令を実施する必要があり、これまでにいくつかの国がMDR規則の草案を公表しています。
EU指令および英国の法案は共に、仲介者(EUを拠点とする税務コンサルタント、銀行、弁護士を含む)および場合によっては納税者に対し、一定のクロスボーダーアレンジメント(報告対象アレンジメント)を関連するEU加盟国の税務当局に報告することを義務付けています。なお、一定の特徴・特質(ホールマーク)を有するクロスボーダー・アレンジメントが報告対象となります。
法案は現在パブリックコンサルテーションに付され、2019年10月11日まで意見が募集されています。英国政府は、最終的に成立する法律の適用に関するガイダンスの作成に取り組んでいます。法案は依拠するEU指令よりも多くの分野において詳細なものとなる見込みですが、現在の提案通りに実施される場合、EU指令の要件に幅広く一致する必要があります。そしてパブリックコンサルテーション文書は歳入関税庁(HMRC)が法制をどのように解釈し適用するかについてさらに明確化しています。
法案では、対象取引の報告は2020年7月1日から、国・地域間の情報交換は2020年10月31日から開始するとされています。ただし、2018年6月25日から2020年7月1日の間に開始されるアレンジメントは遡及して開示対象となることから、2020年8月31日までの報告に含める必要があります。2020年7月1日以降に開始されるアレンジメントは、開始後30日以内に報告が必要となります。報告は税務当局間での情報交換の対象となります。
パブリックコンサルテーション文書では、国際的な租税回避および税源浸食への対応に取り組む英国の決意は、EUを離脱しても鈍ることはなく、英国が経済協力開発機構(OECD)およびG20の積極的かつ影響力のあるメンバーであり続けることが確認されています 。
法案およびパブリックコンサルテーション文書の重要な部分を以下に要約します。詳細解説(英語版のみ)は こちらをご参照ください。
※本アラートの詳細は、下記PDFからご覧ください。