EY Ripplesを通じて、EYは、2025年までに2億5,000万⼈、2030年までに10憶⼈の⼈々の⽣活を向上させるという意欲的な⽬標を掲げています。
EYは、2025年までに2億5,000万⼈、2030年までに10億人の人々の生活を向上させるという意欲的な目標を掲げています。この年報(PDF、英語版のみ)には、持続可能な開発目標(SDGs)にフォーカスしたプロジェクトに取り組む目的意識の高い企業と共に、EYがどのように取り組んでいるかについて、記されています。
以下の例は、EYのメンバーが2019年にサポートした数多くのプロジェクトやイニシアチブのほんの一部です。EYは、EY Ripplesの取組みを通じて及ぼしたインパクトを誇りに思うのと同時に、この活動が他の活動と相乗効果を生み出すことを期待しています。多くの波が合わさり、持続可能な環境や、地球上で暮らす全ての人々の生活向上に良い影響を及ぼす変化のうねりを引き起こすことでしょう。
AmazonEco
ペルーのアマゾン川で生物多様性の保護を支援
AmazonEcoは、ペルーのアマゾン川の保全に取り組む団体です。学生とボランティアが環境実地調査を行い、地域密着型の保全をサポートできるよう、研究船、生物学者、地元のガイドを提供しています。EYはAmazonEcoのマーケティングと財務管理の強化を支援し、これが、遠征調査プログラムの拡大につながりました。さらに、電気自動車の使用や太陽光発電によるボートや建物への電力供給により、持続可能な消費、野生生物の管理、炭素排出の削減を促進するという新しいビジネスベンチャーの立ち上げにも、EYの分析は貢献しました。
Australian Business and Community Network (ABCN)
⾏政サービスが⾏き届いていないオーストラリアの若者の教育と就職率の向上を⽬指す
ABCNを支援する企業40社の一員として、EYは多くのプログラムをサポートし、行政サービスが行き届いていないオーストラリアの若者が必要不可欠なスキルや雇用適性、リーダーシップを習得する支援を行っています。例えば、Focusプログラムでは、⼥⼦学⽣をロールモデルとなる⼥性管理職とマッチングして、⼩グループでのメンタリングセッションを⾏います。1対1のメンタリングプログラムであるGOALSは、個人、教育、職業に関する選択についての意識を高め、高校卒業と高等教育機関への進学を奨励するためのプログラムです。また、EYからの設立資金とサポートで開発されたFuture Thinkerは、デザイン思考を通じて、創造的な問題解決スキルの習得を支援するプログラムです。EYのメンバーは、このようなプログラム全般を通じて、2019年に800人超の学生に対して、1,800時間超のメンタリングを行いました。
Bidhaa Sasa
東アフリカの女性の生活と暮らしを向上
「女性から女性」への直接販売モデルと紹介制度を用いて、Bidhaa Sasaは無条件・無利子で農村部の女性グループにマイクロクレジットを提供しています。また、ソーラー灯、クリーン・クックストーブ、農具など、生活を変える可能性はあるものの、従来の金融機関では少額すぎて資金を提供できない100ドル未満の商品に対する融資を専⾨的に⾏っています。今後2年間にケニアとウガンダで14万世帯に支援を提供することを目標に、EYはBidhaa SasaのITインフラ整備をサポートし、費用対効果の高い方法で意欲的な成長に対応できるよう支援を行います。
BoxPower
販売する太陽発電システムの耐久性を高め、運搬と規模拡大を可能にする
家庭用太陽光発電システムは、農村への電力供給方法として優れていますが、冷蔵庫や送水ポンプ、産業機器などの大容量の機械を動かす際、出力が不足しがちです。BoxPowerは、この課題に取り組んでいます。標準的な約6メートルのコンテナに配備された各ユニットには、最大6世帯または小規模な企業1社に電力を供給できるソーラーパネルと電池が搭載されています。これまでに販売した太陽光発電システムは、すでに年間340トンの炭素の排出を削減し、3,500を超える農村の顧客にクリーンで信頼できるエネルギーを⼿頃な価格で提供しています。EYが支援した新たな市場進出へ向けた戦略により、BoxPowerは2022年までに10万人、2025年までに100万人の生活に変化をもたらすことを目指しています。
College MAP(教育を受ける機会と持続性を育むための指導)
米国で高等教育を受ける夢を支援
現在、⽶国の38都市で展開しているEY College MAPプログラムでは、⾏政のサービスが⾏き届いていない学⽣の⼤学進学への意欲を引き出すことに重点を置いています。さらに、学位取得と社会⼈⽣活への適応を⽀援するため、個⼈的なサポートやライフスキルのコーチング提供に⼒を⼊れています。これまでに1,800名のEYのプロフェッショナルが、2000名を超える学生を指導(メンター)してきました。このうち99%が高校を卒業し、95%は高等教育機関へ進学しました。これに対して、ピア(同年代仲間)グループの場合、⾼校卒業が平均72%、⾼等教育機関への進学は平均42%でした。この結果は、メンターとピアという、より幅広い視点を学⽣にもたらし、自分自身の⽀えとなるアカデミックなコミュニティの⼀員となるよう奨励する、グループメンタリングモデルの有効性を⽰しています。
JAワールドワイド(ジュニアアチーブメント)
若者の就職や起業の準備を支援
世界最大の青少年のためのNGOの1つ、JAワールドワイドは、毎年100カ国を超える国々で1,200万人超の青少年を対象に、働く準備、金融リテラシー、アントレプレナーシップについて、実践的な体験学習の場を提供しています。JAワールドワイド事業を長年にわたって支援する中で、EYのメンバーは学生を指導し、さまざまな規模(世界、地方、地域)の委員会で委員を務め、数々の新機軸を打ち出す支援に携わってきました。この関係を基盤として、EYは2019年に、今後1年間、14カ国で新しいメンタリングプログラムを試験的に実施するグローバルな契約をJA Worldwideと締結しました。これにより、1万2000人を超える学生に起業家教育を提供する予定しています。
NEMI Teas
英国全土の難民に変化をもたらすティーバッグの開発
NEMI Teasにとって、本当においしいお茶には、フェアトレードのサポート以上に大きな意味があります。NEMI Teasは、プラスチックフリーの素材で包装した、100%生分解性のティーバッグ入りの高級茶を提供するとともに、収益の50%超を英国内の難民の雇用、研修、技術訓練に再投資し、彼らが就労経験を積み、仕事に就けるよう支援を行っています。EYが戦略策定のサポートを行うことで、NEMI Teasの売り上げは過去12カ月で3倍になりました。現在、難民のみでNEMIカフェを所有・運営するフランチャイズ方式の確立を含め、国内外での事業展開を目指しています。
NextGen
アフリカの次世代リーダーの育成を支援
南アフリカのハウテン州、クワズール・ナタール州、西ケープ州には、行政サービスが行き届いていない少女たちがいます。彼女たちは、才能と気概、意思の強さにあふれています。彼女たちに足りないのは、潜在能力を生かす機会です。NextGenのプログラムを通じて、EYのメンバーは高校の最高学年の女子学生を対象に学習の特別個別指導、就労体験、リーダーシップキャンプを実施し、サポートを行っています。彼⼥たちが必要不可⽋なスキルを習得し、⾃尊⼼を確⽴して、熱い志を抱けるよう⽀援した結果、NextGenの修了⽣は、進学して医学、⼯学、会計、法医学、微⽣物学などの分野で学位を取得し、就業機会を得る道を進んでいます。2019年には、大学入学試験の合格率100%を達成し、学士号の取得率は95%を超えました。
Smart Futures
行政サービスが十分行き届いていない英国の若者の雇用適性スキルの習得を支援
英国で実施されているEY FoundationのSmart Futuresプログラムは、行政サービスが十分行き届いていない16~18歳の学生の支援に重点を置き、2週間の有給インターンシップを通じて雇用適性スキルを身に付ける機会を提供しています。参加者は、Chartrered Management Institute(CMI)の成人資格レベル2の取得にも取り組みます。EYのメンバーからさらに10カ月のメンタリングサポートを受けて、進学、実習、就職など次の段階へ向けて計画を立てます。2019年にEY Foundationのサポートを受けた4,000人近い若者のうち、Smart Futuresの学生の97%がCMIの資格を取得しました。
Student Mentoring Program
インドの若者の将来の仕事に向けた準備を支援
インドは、2030年までに世界最大の労働人口を擁すると見込まれており、急速に変化する将来の仕事に若者が十分に準備することが極めて重要です。グループおよび1対1のメンタリングを組み合わせたStudent Mentoring Programを通じて、インドのEY Foundationは、英語やソフトスキルの研修をはじめ、キャリア相談、コーチングを含む幅広いサポートを行っています。2019年には約400人のEYのメンバーが500人超の学生を指導し、うち95%超が中等学校を卒業し、現在、高等教育機関に進学、もしくは就職して活躍しています。
SunCulture
太陽光発電によるかんがいを活用して、アフリカの小規模農家の生活を一新
ケニアの耕作可能な⼟地のうち、(かんがいが不要な)天⽔農業に適しているのは、5分の1未満です。ガソリン式、電動、⼿動の送⽔ポンプ式のかんがい設備は費⽤がかかり、⾮効率的なことが多いため、SunCultureは新しいアプローチを採⽤しています。RainMakerのかんがいキットは、太陽光発電のエネルギー効率と極めて効率の良い細流かんがいを組み合わせたものです。このキットを使い、これまでに数千の⼩規模農家が収穫量を300%以上増加させました。EYは、SunCultureが東アフリカと西アフリカの新市場で同じ事業モデルを構築し、規模を拡大するのに役立つ「business in a box」式のマニュアル作成をサポートしました。
Tarjama
中東の女性の機会均等を推進
Tarjamaは中東の中⼼部を拠点とする、テクノロジーを駆使した翻訳・コンテンツ作成サービスの⼤⼿プロバイダーです。優れた才能を持つ女性の研修、採用、昇進を重視したビジネスモデルを取り入れており、従業員の70%が女性です。翻訳研修プログラムを通じて、300人の女性が高度なフリーランスの仕事に就いています。EYは、Tarjamaの事業計画と詳細な財務モデルの策定をサポートしました。これにより、新市場への進出、サービスの品質と速度の向上、さらには、女性のインクルージョンのための基準を更新し続けることが可能になりました。
影響の拡大
この年報(PDF、英語版のみ)が示すように、インパクト・アントレプレナーとの能力開発プロジェクトから、行政サービスが行き届いていない若者の将来に重点を置いた指導プログラムまで、EY Ripplesイニシアチブはすでに違いをもたらしています。しかし、10億人の人々の生活を向上させるというEY Ripplesの熱いなビジョンを実現するには、より多くの人々とつながる新しい方法を見いだす必要があります。EYは、引き続き、広範なクリニックやワークショップを開催するとともに、外部協力者と力を合わせて、セクター全体の発展を加速する可能性のある、見識あるソートリーダーシップを生み出します。
インパクト・アントレプレナー向けのビジネスクリニック
EYは、インパクト・アントレプレナーを集めて、今注目されている共通の話題や成長を妨げる障壁に焦点を当てた、1日集中ワークショップを実施しています。ワークショップは、実務的な研修、ピア・ディスカッション、個別およびグループメンタリングを組み合わせたものです。2018年に実施したパイロット版を基に、2019年にはEYのプロフェッショナルが、5カ国で8つのクリニックを実施しました。5の主要テーマ(インパクト・エンタープライズの確立、顧客とのつながり、指導力、財務管理、投資への準備)について、160人超のアントレプレナーをサポートしました。今年は、さまざまな協力者との関係を深めるとともに、これらのクリニックの開催規模を拡大する予定です。
将来の仕事のためのワークショップ
2019年に、EYは世界12カ国で、10~18歳の青少年を対象に新シリーズのワークショップを試験的に実施し、将来を形作るテーマや、社会に出るための準備を行う方法について取り上げました。新しいテクノロジーがもたらす影響についての考察から、世界の持続可能性の課題や変化を生み出す個人としての役割まで、これらの双方向のワークショップは専門家が開発した9つのモジュールで構成され、元教師が質と有効性について精査しました。この試みは、2020年にはさらに20カ国で実施が予定されています。
ソートリーダーシップ
コンテナベースの汚水処理や輸送拠点から配達先までのラストワンマイルの配送、起業家のSafe Water Enterpriseの拡大に関する前回の報告に加えて、EYは2019年、Syngenta Foundation for Sustainable Agriculture (SFSA)とToilet Board Coalition (TBC)と提携し、さらに2つの貴重な研究論文をまとめました。1つめの論文は、デジタル農業 (PDF、英語版のみ) に注目し、デジタル技術がすでに小規模農家の暮らしを向上させる役割を果たし、秘められた可能性を最大限に実現するための重要な成功要因となっていることを検証しています。2つ目の論文では、業界をリードする下水処理の起業家から教訓を得て、 汚水処理経済の転換(PDF、英語版のみ)を達成する道筋を説明しています。汚水処理経済の転換により、世界でもっとも切迫した持続可能な開発の課題の1つへの対応が可能となり、同時に、何十億ドル規模の経済的価値が新たに創出されるのです。
次の課題
EYは大胆なビジョンを掲げ、明確に焦点を定めています。本当に仕事が始まるのは、これからです。EYは、昨年達成したことを誇りに思うとともに、これらの取り組みをかつてない規模で行うため、EYの世界的規模の組織全体で、顧客および協力者の総体的エコシステムとともに働くという今後の課題と機会に胸を躍らせています。その中でも、2020年にはまず3つのことに取り組みます。
1.新しい仮想プラットフォームの試用
EY Ripplesイニシアチブの範囲を拡大するため、EYは信頼できる技術プロバイダーと提携して、細やかで使いやすいメンタリングの機会が実現するようサポートを行い、世界中の若者とEYのメンバーを結び付けます。つながっている感覚と対面の関係で生まれる親近感を損なわずに、1対1または1対複数というメンタリングモデルの制限を超えて、拡大することを目指します。事業の財務状況を評価して理解する能力を高めるため、EY Finance Navigatorツールも世界のインパクト・アントレプレナーに割引価格で提供します。
2.コラボレーションの拡大
EYは、国内外を問わず、顧客や他の組織とのコラボレーションを引き続き拡大します。現在、金融サービス業の顧客と協力して、金融リテラシーやデジタルインクルージョンの促進について調査しています。
3.環境の持続可能性への重点的取り組みを強化
EYは1月に、2020年末までにカーボンニュートラルになるとの公約を掲げ、EYグローバル会長兼CEO、Carmine DiSibio直属の、サステナビリティ担当副会長の新設を発表しました。いずれも、EYの世界的組織を真に持続可能な体制に近づける上で、また、切迫する気候変動への深いコミットメントを共有するクライアントや他の組織とのコラボレーションのためのプラットフォームを確立する上で、重要なステップです。
サマリー
EY Ripplesを通じて、EYは2030年までに10億人の生活を向上させることを目指しています。2019年のEY Ripples年報では、EYがこの目標に向かって取り組んでいるさまざまな方法の一部を掲載しています。この目標に取り組むため、EYはメンバーのスキル、知識、経験を、最も生かせるところに投入しています。