法定実効税率の計算方法

2018年7月26日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

法定実効税率の計算方法を教えてください。

Answer 

法定実効税率は、課税所得を基礎とする法人税、住民税、事業税の各税率から計算されますが、事業税および地方特別法人税は、課税所得の計算上、支払時に損金となることから、やや複雑な計算式によって計算されます。法定実効税率の基本的な計算式は下記の通りです。

また、地方法人特別税を考慮した各事業年度の法定実効税率は下記の算定式で計算します。

各年度に施行された税制改正によって、法人税率や法人事業税率の所得割の税率等の引き下げが行われた場合、当該改正内容の適用時期である各事業年度の開始時期に応じて、法定実効税率の計算方法が異なることになります。繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いられる法定実効税率は、期末日現在で国会において成立した税法及び各地方公共団体の議会において成立した条例の規定によることになりますので、重要な税制改正については、定期的に情報収集が必要になります。
なお、下記に数値例を紹介しますが、実際に適用される税率については、所在地の都道府県や会社規模、所得状況等によって異なる場合がありますのでご留意ください。数値例では、平成29年度の税制改正の外形標準課税法人、軽減税率不適用法人、東京都の法人事業税を前提としています。

(1) 平成30年4月1日以後に開始する事業年度

計算の前提となった税率等(東京都、資本金1億円超のケース)
法人税率
23.2% 事業税超過税率 0.88%
地方法人税率
4.4% 事業税標準税率 0.7%
住民税率
16.3%
地方法人特別税率 414.2%

(参考)平成31年10月1日以後に開始する事業年度

地方法人税及び法人住民税法人税割の税率改正、地方法人特別税の廃止及びそれに伴う法人事業税の復元を反映する。

計算の前提となった税率等(東京都、資本金1億円超のケース)
法人税率
23.2% 事業税超過税率※
3.78%
地方法人税率
10.3%    
住民税率
10.4%
   

※ 復元後の超過税率 = 0.88% + 0.7% × 414.2% ≒ 3.78%

(2)平成29年4月1日以後に開始する事業年度

計算の前提となった税率等(東京都、資本金1億円超のケース)
法人税率
23.4% 事業税超過税率
0.88%
地方法人税率
4.4% 事業税標準税率 0.7%
住民税率
16.3%
地方法人特別税率 414.2%

注)平成29年4月1日以後に開始する事業年度から地方法人特別税は廃止され、法人事業税に復元される。ここでは平成28年4月1日以後に開始する事業年度に係る超過税率を用いている。

(3)平成28年4月1日以後に開始する事業年度

計算の前提となった税率等(東京都、資本金1億円超のケース)
法人税率
23.4% 事業税超過税率
0.88%
地方法人税率
4.4% 事業税標準税率 0.7%
住民税率
16.3%
地方法人特別税率 414.2%

この記事に関連するテーマ別一覧

税金・税効果

企業会計ナビ

企業会計ナビ

会計・監査や経営にまつわる最新情報、解説記事などを発信しています。 

一覧ページへ