グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示の取扱いの公表に伴う財務諸表等規則等の改正のポイント

2024年9月11日
カテゴリー 会計情報トピックス

EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 松葉 純一

<内閣府令第70号が2024年8月22日に公布>

2024年8月22日に、内閣府令第70号「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等(以下「本改正」という。)が公布されています。

本改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)において、実務対応報告第46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示の取扱い」が公表されたことを受け、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「財務諸表等規則」という。)等及び「『財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則』の取扱いに関する留意事項について」(財務諸表等規則ガイドライン)等について所要の改正を行うものです。

Ⅰ. 改正された規則等

  • 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
  • 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「連結財務諸表規則」という。)
  • 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)
  • 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(連結財務諸表規則ガイドライン)

Ⅱ. 本改正の概要

1. 貸借対照表の表示について(連結財務諸表規則第38条第1項第4号及び財務諸表等規則第52条第1項第5号等)

グローバル・ミニマム課税制度に係る未払法人税等については、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払の期限が到来するものがあるため、連結貸借対照表及び貸借対照表の固定負債に区分掲記する科目として、「長期未払法人税等」を追加することとされています。

また、第1種中間(連結)財務諸表における中間(連結)貸借対照表及び第2種中間(連結)財務諸表における中間(連結)貸借対照表についても、同様の規定が設けられています(※)

2. 連結損益計算書における表示について(連結財務諸表規則第65条第1項及び第2項等)

グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、当該連結会計年度に係る法人税、住民税及び事業税に含めて表示することになります。このとき、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等に重要性がある場合、当該金額を注記することとされています。

また、第1種中間連結財務諸表における中間連結損益計算書及び第2種中間連結財務諸表における中間連結損益計算書についても、同様の規定が設けられています(※)

3. 個別損益計算書における表示について(財務諸表等規則第95条の5第1項第2号及び第2項等)

グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、税引前当期純損益の次に、法人税、住民税及び事業税とともに「国際最低課税額に対する法人税等」として区分して表示することとされています。ただし、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の金額を法人税、住民税及び事業税に含めて表示することができるとし、この場合、当該金額の重要性が乏しい場合を除き、当該金額を注記することとされています。

また、第1種中間財務諸表における中間損益計算書及び第2種中間財務諸表における中間損益計算書についても同様の規定が設けられています(※)

(※)中間連結財務諸表及び中間財務諸表においては、当面の間、当中間連結会計期間及び当中間会計期間を含む対象会計年度に関するグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しないことができるとされています(実務対応報告第46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下「実務対応報告第46号」という。)第7項)。当該定めを適用する場合、その旨を注記することとされています(実務対応報告第46号第13項)。
なお、実務対応報告第46号第13項の注記の定めについては、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとされています(実務対応報告第46号第15項)。

Ⅲ. 適用時期

公布の日から施行し、2024年4月1日以後に開始する連結会計年度又は中間連結会計期間及び事業年度又は中間会計期間において適用することとされています。

Ⅳ. 公開草案からの修正点

公開草案における提案内容から変更はありません。

なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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