パンデミックが発生した当初から、どの国の消費者も、コロナ禍が収束した後の時間とお金の使い方に関しては、今までよりサステナビリティを重視した選択をするつもりだと回答しています。この点について、消費者心理は国を問わずまったく変わっていません。
実際、今年は気候変動から貧困や社会的不公正まで、あらゆるサステナビリティ問題が一斉に政治、社会、企業、そして消費者に関わる議題に上る年になるかもしれません。今年11月に国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開催されます。EYはグローバル企業とのプロジェクトを通じて、サステナビリティが目下、取締役会の最大の関心事であることを承知しています。
CEOが直面する喫緊の課題(CEO Imperative)シリーズでは、CEOが組織の未来を創る上で役立つ、重要な課題と対応策について考察しています。今回は、ブランドとその企業に対して消費者が抱くサステナビリティ面の期待の変化と、それにCEOがどのように対処できるかについて説明します。
最終的に言行を一致させることができるか
EY Future Consumer Indexの最新版によると、世界全体の消費者の43%が、社会に貢献する企業であれば、割高でもその企業の商品やサービスの購入頻度を増やすと回答しています。また、64%が社会に貢献できるのであれば、いつでも行動を変えるつもりだとしています。
消費者は、サステナブルな商品やサービスであれば割高でも購入すると言いながら、それを行動に移さないことが多々あります。世界が徐々にパンデミックの影響から回復する中、この言行不一致が解消される兆しが見えるようになりました。そうなれば、消費者向けビジネスに携わる企業が成長する大きなチャンスが生まれるでしょう。しかし、そのチャンスをつかむためには、今、変革を起こさなければなりません。特に必要となるのは、ターゲットとする消費者のそれぞれ微妙に異なる関心に対応した商品の開発です。また、ブランドを裏で支える企業活動も消費者の期待に沿ったものにするよう取り組むことが求められます。
CEOはどのように対処すればよいのでしょうか。以下に示す5つの戦略が、企業の行動のあり方に対する消費者の期待の変化に対応しながら、消費者のニーズが高まるサステナブルな商品を、消費者が喜んで支払える価格で提供する上で役立つでしょう。
- 価値創造を推進するドライバーとしてサステナビリティに取り組む
- 総合的な視点に立ちながら、自社にとって何が重要かを考えて行動する
- 偽りのない姿勢で取り組み、それをいつでも証明できる体制を整えておく
- バリューチェーン全体に良い影響を積極的に与えていく
- サステナブルな業務遂行に向けて経営モデルを見直し、新たなモデルを迅速に構築する
危機からの回復ペースは国によって異なり、また世界中の人々がいまだに自分の将来に深い懸念を抱いています。このように困難なときこそ、サステナビリティに対する消費者の関心の高まりを、さらなるリスクやコストを生むものとしてではなく、成長のチャンスと捉えることが肝要です。