ファイナンス・トランスフォーメーション戦略

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経営環境の急速な変化と企業の課題が複雑化する中で、CFOの役割を「長期非財務重視」、「社会課題解決によるサステナブルな成長」を含めたCVO(Chief Value Officer)へと進化していく必要があります。これらCFOのミッション遂行のため、ファイナンス組織はそのケイパビリティを企業にとってのBusiness Partnerへと変革していく必要があります。

ファイナンス・トランスフォーメーションサービスはファイナンス組織のビジョン・ミッション・提供価値を再定義し、その将来像を実現するためのバリュードライバーを明確にすることで、ファイナンス組織の変革を支援します。

1. ファイナンス組織の将来像

ファイナンス組織は、現在、月次決算や四半期・年度決算を主な役割として、多くの工数・リソースを投下している状態です。ERPやDXの活用により、その工数・リソースは削減されたものの、それでも比重は高止まりしている状態です。
一方で、経営者や事業部門が抱くファイナンス組織への期待は、実績数値の集計と報告だけでなく、事業計画や予算の達成、および長期的価値向上に向けて必要な施策に関するファイナンス視点からの有益な情報提供にあります。

このような背景から、ファイナンス組織は、従来のScore Keeperとしての役割から、Business Partnerとしての役割に変化していく必要あります。

図表1

2. 将来像の策定アプローチ

将来像の策定は、まず「ファイナンス組織のビジョンとミッション」を再定義することから始めます。企業内においてどのような存在でありたいのか、どのような使命や価値観を持つ組織でありたいのかを明らかにした上で、果たすべき役割・組織機能=提供価値とその実現に必要なバリュードライバーを整理します。並行して役割・組織機能ごとに投下する工数・リソースを現在と将来とで可視化することで、自部門の目指すところがより明確になり、ファイナンス組織所属メンバーはもちろんのこと、関係者にとってもイメージの共有に有効となります。

図表2

3. オペレーティングモデルからのアクション整理

必要なアクションの整理は将来像を実現するためにとても重要です。ファイナンス組織のオペレーティングモデルを構成する7つの視点から必要なアクションを整理することで、確実な実現を目指します。

図表3
構成要素ごとのアクション例
ポリシー • グループ・グローバルでのガバナンスを可能にする財務・非財務、経営管理、リスクマネジメントなどのグローバル統一ルールの策定・展開
プロセス • ビジネスの成長と価値創出を可能にする効果的・効率的なグローバル統一プロセスの定義と導入
• SSC/BPO活用によるルーティン業務削減
評価指標 • 長期的価値向上に向けたKPI設定と各社・各事業部門への展開
• 利益最大化に向けた製品ライフサイクル損益の可視化
組織 • 戦略目標達成に必要な活動・イニシアチブの特定と推進チームの立ち上げ
• HQ・RHQ・各社のファイナンス機能配置最適化と事業部門FP&A機能の強化
データ • グローバルでのマスタ標準化によるグループ・グローバルでの経営情報の可視化
• 非財務情報を活用した経営に向けたデータの定義と収集
人材 • ビジネス視点・経営視点を持つ人材育成手法の確立
• 海外子会社を含めたファイナンス人材の可視化による有能・有望人材の積極登用
テクノロジー • 積極的なIT・DX化による自動化の推進
• AIの活用による分析情報の付加価値向上
• 新テクノロジーの積極活用を可能にする投資制度の策定・導入

4. サービス概要

  • 柔軟で変化に強い企業となるべくプロセス・システム・ルール・組織構造を見直すコーポレート・トランスフォーメーション(CX)

    サービス概要
    • デジタル化の急速な活用の拡がり、環境規制や地政学的な不安・紛争、および予測不可能なウィルス蔓延による不安定な社会情勢、経済のグローバル化などのメガトレンドや破壊的イノベーションへの脅威など、不確実性が近年ますます高まり、企業にとっては未来が予測にくいVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の状況となっています。そのため、企業は持続性と成長について一層厳しく問われることになります。

    • 企業の永続的な成長を支える上で、既存事業の深化と新規事業への柔軟な事業ポートフォリオの変革が必要となります。しかし、継ぎ接ぎで構築し続けてきたシステム、硬直した組織構造、旧来から続くルールが足枷となり、事業変革や経営の意思決定の遅れ、ダイナミックな企業変革、M&Aにて取り込んだグループ会社との即時シナジーが得にくい状況に多くの会社が直面しています。そこで事業変革と共に、抜本的にプロセス・システム・ルール・組織構造を見直し、柔軟で変化に強い構造へ再構築を推進する企業が増えています。EYは上記取組みをコーポレート・トランスフォーメーション(CX)と定義し、企業全体の根底からの変革を支援します。
       
    支援内容

    EYでは4つの軸でCXを策定・実行支援します。

    • 事業ポートフォリオ
      企業を永続的に発展させる両利き経営を目指し、適切な事業管理のためのKGI/KPI設計、PDCAサイクルや可視化の仕組みを構築支援します。

    • プロセス・プラットフォーム
      拠点最適化されたシステム・プロセス、拠点独自のデータ定義やモジュール間で分断されたデータを、統一プラットフォーム化により、シングルソース・シームレス連携と標準プロセス実現を支援します。
    • 組織構造
      事業ポートフォリオ変革や事業環境変化に対応できる組織構造、および多様化するワークスタイルを考慮したレジリエントな組織への変革・設計を支援します。
    • ルール・ガバナンス
      事業環境変化やイノベーション事業にも柔軟に対応するガバナンス、人事制度、ルールの設計・再構築を支援します。
    柔軟で変化に強い企業となるべくプロセス・システム・ルール・組織構造を見直すコーポレート・トランスフォーメーション(CX)
  • 財務と非財務により長期的価値の実現を推進するチーフ・バリュー・オフィサー(CVO)

    サービス概要
    • 財務指標と非財務指標の双方を取りまとめ、統合報告にて開示を行っている日本企業の多くは、レギュレーション上での対応レベルにとどまっています。その結果、財務指標と非財務指標の価値がバラバラの状態のままであることに懸念を持つ企業も増えつつあります。

    • 企業価値を再定義し、自社の長期的価値創造のストーリーを語り、変革の実現をリードする役割=CVOが必要であるとEYは考えております。EYは、財務的価値のみならず、顧客価値、人材価値、社会的価値などの非財務価値および自社ブランディングも包含した、新たな長期的価値の実現に向けた組織への変革プログラムの策定を支援します。
    財務と非財務により長期的価値の実現を推進するチーフ・バリュー・オフィサー(CVO)
    支援内容
    1. 投資家を含む全方位へのインタビューを踏まえた、自社における長期的価値としてのKGI設定
    2. KGI達成に向けたKPIへの展開
    3. KPIのGAP分析と、実現に向けた施策・イニシアチブの検討・実行のためのアクションプラン・ロードマップ策定
    4. 内外へのメッセージ・ストーリーの策定
    5. KPI把握のためのデータマネジメント設計
  • ファイナンス部門の組織機能の将来ビジョンと新たな役割・提供価値を再定義するファイナンス組織変革構想

    サービス概要
    • 「グローバル化や新たなビジネス展開など事業側の変化・成長に対し、ファイナンス部門の変革が追い付いていない」または「M&Aや組織再編、または新たな中期計画の策定により、自部門の機能・役割や組織文化を新たに描く必要がある」といったファイナンス部門に変革が求められる局面は多くあります。
    • これら変革の必要性に対し、EYはファイナンス部門の組織機能の将来ビジョンから新たな役割・提供価値を定めると共に、その実現に向けたロードマップの策定を支援します。
    ファイナンス・オペレーティング・マチュリティ診断
    支援内容
    1. オペレーティングモデルを構成する7つの要素ごとのマチュリティ(成熟度)診断による自部門の現状把握
    2. ファイナンス部門としての将来ビジョンとオペレーティングモデルの目指す姿(TOM:Target Operating Model)の定義
    3. 目指す姿(TOM)実現に向けたロードマップの策定と、実行支援
  • 資本効率経営を実現しつつ長期的な事業価値の向上と新規事業の創出の実現を支える経営マネジメントの変革

    サービス概要
    • VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代においては、急激な技術の変化やビジネスモデルの変革などにより、新しいビジネスの創出が求められます。そのためには、既存事業への投資に加えて、新規事業や新規技術への深化に向けた投資、或いは全くの新領域を探索するための投資を両立させる両利き経営を取り入れ、戦略的に経営資源の配分を実行するための事業ポートフォリオ・マネジメントが必要となります。
    • また、日本企業は長らく売上高や利益額を経営指標の中心としてきましたが、自己資本利益率(ROE)や株価純資産倍率(PBR)の低さも相まって、資本効率を高めることが求められています。投下資本利益率(ROIC)などを用いた資本効率経営を取り入れることにより、経営資源を配分した投資が企業価値を高める仕組みが重要となります。
    • EYは、これら資本効率経営を実現しつつ、長期的な事業価値の向上・事業の創出を可能にする経営マネジメントの変革を支援します。
    経営マネジメント
    支援内容

    構想策定支援

    1. 事業ポートフォリオ・マネジメントおよび資本効率経営の目指す姿の定義
    2. 目指す姿を実現するためのロードマップ策定
    3. 社内・社外の関係者との合意形成に向けたコミュニケーション計画策定

    運用設計支援

    1. 経営マネジメントサイクルの設計
    2. 経営管理指標・オペレーショナルKPIの定義
    3. 組織全体への浸透とチェンジマネジメント
    4. システム化検討
  • 少子高齢化や就業意識の変化を背景としたリーンでサステナブルなファイナンス組織への変革

    サービス概要
    • 日本国内の少子高齢化による人口減少や年齢人口分布の変化により、ファイナンス組織は要員不足となりつつあります。また、若年層や既存社員の就業意識も変化しており、魅力的なキャリアを望めない会社と判断された場合、就業先の選択肢から除外される可能性があり、より要員不足を助長しつつあります。 その一方で、会計や税制、開示等のレギュレーション改訂によりファイナンス組織にかかる業務負荷はますます増大している状況です。このような状況下では既存のオペレーションモデルは早晩に限界を迎えることが容易に想像できます。

    • グループ経営・企業経営の中核を担うファイナンス部門として、その組織運営や業務品質に影響を与えるリスクを回避し、サステナブルな組織運営を実現する新たなオペレーティングモデルの構築が求められます。 EYでは、以下の観点で新たなオペレーティングモデルの構築を支援します。
    1 機能の配置
    • 少人数での組織運営に向けたコア機能とノンコア機能の見極め
    • 人材配置の原因となる各社・各拠点に点在する機能・業務配置先の見直し
    • 自前主義にとらわれない外部リソース・専門家の活用による機能維持・強化
    2 人材リソースの配置
    • 日本から派遣された駐在社員への依存から脱却するための現地採用社員へのポスト委譲の推進
    • 国内外の優秀人材を引き付ける登用制度の構築
    • 働き方に対する思考に合致した多様なキャリアパス・育成手法の検討
    3 注力すべきファイナンス部門の機能
    • フォーカスすべきコア機能への自社リソースの配置と育成手法の見直し
    • 事業の発展や経営の意思決定に貢献する機能へのリソースシフト
    • 経営や財務の効率性を支える機能強化
    支援内容
    1. 人員数・人員構成の将来予測や離職・退職の原因分析による問題の可視化
    2. 少人数で運営可能なファイナンス組織に向けたトランスフォーメーション施策の検討
    3. 若手・中堅社員の定着・育成を促し、人材の登用・活用を可能にするトランスフォーメーション施策の検討
    4. 経営や事業運営に貢献し、強化すべき機能の定義とトランスフォーメーション施策の検討
    5. トランスフォーメーション実現に向けた施策実行計画・体制の策定と、実行支援