半導体市場とその内訳
SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International, エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際工業会)によると、世界的な半導体市場は2022年には約6180億ドル、2030年には1兆ドルになると推定されています。半導体市場において、最も需要が高いのはスマートフォンやコンピュータ用です。しかし、近年では自動車、IoT機器など、半導体使用製品の拡大により需要が急増しています。また、AIやブロックチェーンなど、新しい技術の発展により、半導体の需要はさらに拡大することが予想されています。
半導体バリューチェーン・構造について
半導体バリューチェーンとは、半導体の製造から販売までの一連のプロセスを指します。半導体バリューチェーンの構造は、大きく分けて以下の4つの段階に分類できます。
- デザイン:半導体の機能や性能を設計する段階です。自社で設計を行う会社や、デザインハウスと呼ばれる専門企業がこの段階を担当します。
- 製造:半導体の素材や部品を作る段階です。ウエハー、マスク、パッケージなどがこの段階で作られます。製造はさらに前工程と後工程に分けられます。前工程はウエハーに回路を形成する工程で、主にファウンドリと呼ばれる専門企業がこの工程を担当します。後工程はウエハーを切断し、パッケージングやテストを行う工程で、ファウンドリやアセンブリ・テスト企業がこの工程を担当します。
- 販売:半導体の製品やサービスを市場に提供する段階です。半導体メーカーや半導体商社がこの段階を担当します。
- 最終商品化:この段階では、半導体の性能や特性を生かして、さまざまな用途に応える製品やシステムを設計・製造します。例えば、コンピュータ、スマートフォン、自動車などです。最終製品化を担当するのは、完成品メーカーや製造受託企業です。これらの企業は、半導体の供給元や顧客と密接に連携して、市場のニーズに合わせた最適な製品を提供します。
半導体サプライチェーンにおける課題
EYの独自調査である、「EY CEO Outlook Pulseサーベイ」によると、40%ものCEOが地政学的な課題によってサプライチェーンの再構築を実施したと回答しています。ただし、日本のTMT業界のCEOに限るとサプライチェーンの再構築を行ったのは25%にとどまっており、これはTMTのGlobalの数値と比べても低い値になっています。また、今後6カ月間の戦略的な取り組みについて「サプライチェーンにレジリエンスを持たせる」と回答したCEOもGlobalの32%に対し13%と、日本のTMT業界の値は低い状況です。