カーブアウトのような会社分割戦略は複雑ですが、変革と成長のきっかけとなり得ます。
世界金融危機を受け、企業は過去10年間「(規模が)大きいことは良いことだ」という考え方の下にポートフォリオの多様化を図り、超大型合併を続けました。そのため、今日の企業の事業ポートフォリオは複雑を極めており、S&P500企業を見ると、およそ3分の2は、3つ以上の事業分野で年間収益が5億ドルを超えています。
ところが、昨今の運用環境の悪化や高金利を伴う金融市場の不確実性が、企業にポートフォリオの再評価を迫り、成功に向けた会社/事業の分割を追求させています。市場は「シュリンク・トゥ・グロー」を重視するようになり、コアビジネスに焦点を当てる企業を評価する傾向が高まっています。分離活動の増加は業界を問わず顕著ですが、特に活発なのは製造業とヘルスケア分野です。
会社/事業の分割を成功させる戦略とは
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会社/事業の分割を行うという決断は、会社を長期間にわたる繁栄のために下します。ウィークリンク(信用力を低下させるようなつながり)を断ち切るためにスピンオフをする経営者もいますが、私は絶対にそれはしません。新会社には業界で最高の企業になってほしいと願っています。好きなように大暴れするチャンスを提供したいのです。
会社/事業の分割は複雑ですが、大きな株主価値を生むことができ、また多くの場合、市場平均を上回る業績を達成できます。会社/事業分割の成否の評価基準とするのは、分割によって生まれるRemainCo(存続会社)とNewCo(新会社)の株主総利回りです。分析結果から、会社/事業の分割が順調に実施されると、発表から取引完了後2年間までの超過リターンの加重平均が、それぞれのセクター指数をおよそ6%上回る可能性があることが明らかになりました。
ベンチマークを上回る業績を長期的に維持できるという保証はありません。このため、経営幹部が分割前に戦略的なビジョンを定め、戦略面の決定を下しておくことが極めて重要になります。できるだけ大きな長期的価値を株主にもたらすために、企業が今後、全力を注いでおくべき取り組みが5つあります。
概して、会社/事業の分割は業界を問わず価値を解き放つ優れた手段として、人気が続いています。近年のこうしたディールの増加は、昨今の会社/事業の分割により誕生した会社が好業績を収めていること、ならびに買い手と市場を取り巻く混乱を回避するのに有効な手段であると認められてのことです。会社/事業の分割について必要な時間とコストを把握でき、戦略的ビジョンとの間に調和のビジョンを描ける経営幹部は、すぐにでも分割に向けた作業に着手できるといえます。
サマリー
カーブアウトのような会社分割戦略をきっかけとして変革を実現することで、企業は長期的価値を創出し、市場平均を上回る業績を達成する可能性を大幅に高めることができます。レポート全文をダウンロードし、なぜ市場が「シュリンク・トゥ・グロー(Shrink to Grow:成長のための縮小)」モデルを高く評価しているかをご覧ください。
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