――来日されたご感想をお願いします。
大好きな日本にまたこうして戻って来ることができて、とてもうれしく思っています。現役を引退してからすでに7回ほど日本に来ていますが、当時一緒にプレーした選手たちと連絡を取り合って再会するなど、毎回感動的で楽しい時間を過ごしています。
今はドイツと日本を行き来しており、厳しいスケジュールではありますが、また旧友たちと交流を深めることをとても楽しみにしています。
――今回のツアーに関連し、さいたま市内の小学生たちを対象にサッカー教室を開講されたそうですが、その経緯について教えてください。
今回のサッカー教室は、浦和レッズとアイントラハト・フランクフルトのパートナーシップを記念して行われました。
パートナーシップにあたり、最も大事なことは、ドイツから提供できるものは提供し、日本からも学べることを学んでいくという姿勢です。そこにはサッカーの指導や若い選手を育てていくことも当然含まれています。私たちと子どもたちとの交流によって、地域コミュニティーが活性化したり、この体験によって子どもたちがドイツや世界に視野を広げたり、未来につながるきっかけにしていただけるとうれしいですね。パートナーシップの一環として大変有意義なものでした。
今後もさまざまな交流を通じて両クラブの関係性を深め、将来的には、両クラブの選手がお互いのチームを行き来するような関係に発展できればと考えています。
――今回のようなサッカー教室は、その感動体験がさらなる参加欲求へ、そして「人づくり」へとつながっていくものだと感じています。バインさんは現在、地元でもサッカーの指導をされているそうですね?
選手を引退した後、ドイツで子ども向けのサッカーキャンプを定期的に開催しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行などで一時的に中断したこともありましたが、もう10年以上継続して取り組んでおり、サッカー選手としての育成はもちろんのこと、サッカーの楽しさを伝えていきたいと考えています。
――素晴らしいですね。バインさんのようなプロフェッショナルが、ご自身の経験を子どもたちに伝えることで、子どもたちのみならず、子どもたちを見守る地域の方々全体のサッカーに対する熱量が高まると思います。バインさんは、スポーツが地域社会において果たせる役割や責任について、どのように考えていますか?
スポーツ、その中でもとりわけプロ選手は、若い人たちの手本や模範となることを常に意識する必要があります。
サッカーはチームスポーツですから、いくら優れた能力を持っていても個人の能力だけではゲームに勝てません。自分を律し、チームのためを考えて動き、最高のプレーをする。そのような姿を通して、若い世代に良い影響を与えることも、プロ選手の大切な役割です。
また、先ほどお話しした通り、子どもたちにサッカーの楽しさを伝えたり、選手として育成したりすることも、サッカーのみならず、地域社会が活性化することにもつながると考えています。