2023年2月21日
ブンデスリーガジャパンツアー特別インタビュー:ウーベ・バイン氏に聞くグローバルパートナーシップにおける「育成」の考え方

ブンデスリーガジャパンツアー特別インタビュー:ウーベ・バイン氏に聞くグローバルパートナーシップにおける「育成」の考え方

執筆者 EY Japan

複合的サービスを提供するプロフェッショナル・サービス・ファーム

2023年2月21日

2022年11月、ブンデスリーガジャパンツアーに際し、かつてアイントラハト・フランクフルトや浦和レッドダイヤモンズでもプレーしたウーベ・バイン氏が来日。

1990年ワールドカップイタリア大会で西ドイツの優勝に貢献したドイツのレジェンドは、現役引退後、自らサッカースクールを創設し、青少年の育成に取り組んできました。今回バイン氏は、埼玉の子どもちを対象に、サッカークリニックを開催。アイントラハト・フランクフルトと浦和レッズのグローバルパートナーシップがあるからこそ取り組むべき「育成」とはどのようなものか、バイン氏にお聞きました。

要点

  • グローバルのパートナーシップを活用し、育成のノウハウを国や地域を超えて共有することができる。
  • サッカースクールを通じて、自らを律し、チームのためを考えて動き、最高のプレーをする人材育成に貢献できる。
  • それがサッカーのみならず、地域社会の活性化にもつながる。


――来日されたご感想をお願いします。

大好きな日本にまたこうして戻って来ることができて、とてもうれしく思っています。現役を引退してからすでに7回ほど日本に来ていますが、当時一緒にプレーした選手たちと連絡を取り合って再会するなど、毎回感動的で楽しい時間を過ごしています。

今はドイツと日本を行き来しており、厳しいスケジュールではありますが、また旧友たちと交流を深めることをとても楽しみにしています。
 

――今回のツアーに関連し、さいたま市内の小学生たちを対象にサッカー教室を開講されたそうですが、その経緯について教えてください。

今回のサッカー教室は、浦和レッズとアイントラハト・フランクフルトのパートナーシップを記念して行われました。

パートナーシップにあたり、最も大事なことは、ドイツから提供できるものは提供し、日本からも学べることを学んでいくという姿勢です。そこにはサッカーの指導や若い選手を育てていくことも当然含まれています。私たちと子どもたちとの交流によって、地域コミュニティーが活性化したり、この体験によって子どもたちがドイツや世界に視野を広げたり、未来につながるきっかけにしていただけるとうれしいですね。パートナーシップの一環として大変有意義なものでした。

今後もさまざまな交流を通じて両クラブの関係性を深め、将来的には、両クラブの選手がお互いのチームを行き来するような関係に発展できればと考えています。
 

――今回のようなサッカー教室は、その感動体験がさらなる参加欲求へ、そして「人づくり」へとつながっていくものだと感じています。バインさんは現在、地元でもサッカーの指導をされているそうですね?

選手を引退した後、ドイツで子ども向けのサッカーキャンプを定期的に開催しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行などで一時的に中断したこともありましたが、もう10年以上継続して取り組んでおり、サッカー選手としての育成はもちろんのこと、サッカーの楽しさを伝えていきたいと考えています。
 

――素晴らしいですね。バインさんのようなプロフェッショナルが、ご自身の経験を子どもたちに伝えることで、子どもたちのみならず、子どもたちを見守る地域の方々全体のサッカーに対する熱量が高まると思います。バインさんは、スポーツが地域社会において果たせる役割や責任について、どのように考えていますか?

スポーツ、その中でもとりわけプロ選手は、若い人たちの手本や模範となることを常に意識する必要があります。

サッカーはチームスポーツですから、いくら優れた能力を持っていても個人の能力だけではゲームに勝てません。自分を律し、チームのためを考えて動き、最高のプレーをする。そのような姿を通して、若い世代に良い影響を与えることも、プロ選手の大切な役割です。

また、先ほどお話しした通り、子どもたちにサッカーの楽しさを伝えたり、選手として育成したりすることも、サッカーのみならず、地域社会が活性化することにもつながると考えています。

――地元チームの選手が活躍したり、サッカー教室を開催したりすることは、地域社会にとって大きなパワーになるんですね。最後に、日本の選手やサッカーファンへのメッセージをお願いします。

日本のサッカーは間違いなく年々発展し、進化しています。多くの日本人選手がドイツリーグで素晴らしい活躍をしていることは皆さんご存じの通りです。

特にアイントラハト・フランクフルト所属の長谷部誠選手や鎌田大地選手は、選手としてはもちろん、その存在自体が若者たちに大きな影響を与えている一流のプレーヤーです。彼らは若い日本の選手たちにとっても、素晴らしい手本となっています。

ワールドカップでも、ドイツを始め他の国々は日本に油断すべきではありません。日本の実力で、大いに世界を沸かせることを期待しています。

ブンデスリーガジャパンツアーで埼玉スタジアム2002を訪れたウーベ・バイン氏

ブンデスリーガジャパンツアーで埼玉スタジアム2002を訪れたウーベ・バイン氏

サマリー

今後、浦和レッズはアイントラハト・フランクフルトなどの海外クラブとのパートナーシップを軸に、育成年代の留学にも力を入れていきます。
これは、サッカーのみならず地域社会の活性化にもつながるような、自らを律し、チームのためを考えて動き、最高のプレーができる人材育成の取り組みでもあります。

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