女性は、もっと欲張りになっていい
HANA:人生の過程でどういったステージにあるかによって必要なサポートは変わってくると思います。それは女性であっても男性であっても同じで、男性で育児休暇を取って積極的に育児に関わりたいタイミングだと思っている人もいれば、女性で今こそ自分のキャリアに注力したいと思っている人もいます。個々人の状況を理解した上で、その人に合わせたサポートをしていくことが大切ですね。
NATSUKO:そうですね。それぞれがどんなサポートを望んでいるのか考え、言い出しにくそうならこちらから声を掛けてあげることも必要ですね。
私は以前、プロジェクトリーダーになりたいと思いながらもそれを言えずにいた時、「彼女ならできます」と同僚に言ってもらえてとてもうれしかったことがあります。その頃はまだ女性のプロジェクトリーダーがいなかったのですが、今は状況も変わりつつあります。遠慮せず、自分から手を挙げてみる。女性側にもそんな勇気を持ってほしいと思います。
HANA:私は、女性はもっと欲張りになっていいと思っています。私自身もキャリアを積んでいく中で、家庭を持ち、出産もしました。その中で、自分から「こうしてほしい」と言い出せないこともありました。今振り返ってみて思うのは、当時、自分が声を上げていれば周りはきっともっとサポートしてくれていたのではないかということです。つい「迷惑ではないか」、「わがままかも」と遠慮してしまいがちですが、周りは案外、もっと協力したいと思っているかもしれません。ですから、女性の皆さんにはもっと遠慮せずに声を上げてほしいですね。
お互いが遠慮せずに話し合える環境づくりを
HANA:女性が遠慮して必要なサポートを言い出せずにいる状況は、チームにとってもプラスにはなりません。何を求めているかが明確でないと、相手がステレオタイプなサポートを提供しようとしてかみ合わない事態になってしまうかもしれません。それではせっかくのサポートも残念な結果になってしまいます。お互いが歩み寄り、コミュニケーションをしっかりとって、どちらからも声を上げていくこと、そしてお互い遠慮せずに話し合える環境づくりが重要だと思います。
NATSUKO:私も、これまで以上に女性社員の方々との対話を増やしていきたいと考えています。皆さんが何を幸せだと思っているのか。どんなふうにキャリアを積んでいきたいのか。そんな話をたくさん聞きたいですね。
HANA:そうですね。「今はこんなキャリアを積みたい」、もしくは逆に「今は仕事をセーブしたい」など、欲張りになるためのコミュニケーションをどんどん取ってきてほしいです。その欲張りに、できる限り応えていきたいと思っています。
女性が活躍できる世界は、誰にとっても良い世界であるはず
NATSUKO:私は現在、クライアント向けのDE&I勉強会を開き、その講師をしています。女性のキャリアについて話をした時、クライアントの男性社員から「多様性のメリットが見えてくるまでに時間がかかるけれど、それに持ちこたえられる組織かどうかが重要なんだね」という感想をいただきました。EYはすでに多様性を重視していますが、これから多様性に向けて踏み出す企業には、ここにためらいがあるのだという気付きがありました。
また、WABN(Women Athletes Business Network)という女性アスリートのセカンドキャリアを支援するプロボノ活動も行っているのですが、スポーツで素晴らしい実績を出してきたにもかかわらず、ビジネスの世界では自己効力感が低い人もいます。彼女たちがその素質を新たにビジネスの世界で生かせるよう、しっかりと寄り添っていこうと思っています。
HANA:人口の約半分を女性が占めているわけですから、女性が活躍して働ける世界というのは、誰にとっても良い世界であるはず。それは、EYのパーパス(存在意義)である「Building a better working world (より良い社会の構築を目指して)」にも共鳴するものだと感じています。
NATSUKO:そうですね。私のマイパーパスは「人間力を鍛える」なのですが、自らの人間力を鍛えることによってお客さまに貢献し、それがより良い社会を構築することにつながっていけばと思っています。
HANA:自分がキャリアをスタートした時よりも、キャリアが終わる頃にはより良い世界にしておきたいですよね。私には娘がひとりいるのですが、彼女が成長して働き出す頃には、女性としてより働きやすく、より理解が進み、誰もが自分が望むキャリアを歩んでいける社会になっていてほしいと願っています。