ここまで方法論の話をしてきましたので、日本を代表する化学系企業における具体的なコンサルティング事例を紹介します。
ある会社では、自社に必要な人材の見える化から着手しています。中期経営計画に掲げる重要なミッションの成功に向けて必要な人材を「DX&イノベーション・M&A・海外事業」の3領域に定め、それぞれの領域においてミッションの成功に向けて必要なスキルを持った人材が今どれだけいるか、将来どの程度必要になるのか、そのギャップを明確にして、提供する教育プログラムを設計・展開しました。
また、それだけではせっかく人材が育っても辞めてしまうリスクがあるため、特任専門職のための職群を新たに設置して、正規社員の処遇にとらわれない柔軟な報酬を実現しています。また、他の正社員よりも高水準の報酬を可能とするため、正社員の人事制度とは別に個別契約で処遇する一方で、内部公平性等の観点から、異動・配置、解雇の定めに差を設け、ハイリスクハイリターンな職群として位置付けています。
EYが展開するDX人材育成ソリューションでは企業の状況に合わせ、自社に必要な人材の見える化・リスキリング・組織風土改革等幅広く支援が可能です。
ただやみくもに施策を実行するのではなく、必要な人材の質・量を見定めた後、人材配置や育成、組織・制度改革等の手段を決定してから着手することが重要だと考えます。
例えば、前段で説明した全ステップ(自社に必要な人材の見える化、講ずべき手段の決定、施策の実行)をまたぐソリューションとしては、全社共通の資格認定プログラム(EY Badges)が挙げられます。具体的には、DXを推進する上で必要な要素を定義の上、資格認定プログラムを整備し、DX人材の育成に取り組んでいます。
取得までの流れとしては、社員本人が習得、または向上させたいコンテンツ(Technology・Leadership・Business)とBadgeレベル(Learning・Bronze・Silver・Gold・Platinum)を選択し、規定の研修を受講・完了の上、EY Badgeを取得します。EY Badgeは、全社共通のスキル証明となり、本人のアサインの幅が広がることはもちろん、MBA取得(EY Badgeを取得後、オンラインで取得できるMBA資格)へのチャレンジなどへの広がりもあります。
また、「自社に必要な人材の見える化」または、「講ずべき手段の決定」のステップをまたぐソリューションとしては、弊社フレームワークを活用したアセスメントツール(Digital Readiness Assessment)があり、自社の現在地と課題を抽出し自社のDX習熟度を知ることが可能です。このプラットフォームにより、7つの重点分野(戦略、ITのほか、顧客体験やオペレーション、バックオフィスなどを含む、統合的なフレームワークで、デジタル・レディネス)におけるデジタルの成熟度を評価することができます。それにより、デジタルへの投資機会を正しく選別し、デジタル社会で後れを取らないためのデジタル戦略の立案を可能とします。
他にも、自社に必要な人材の見える化および、講ずべき手段の決定まではできており、「施策の実行」から着手する場合は、業務効率化とリスキリング実施に向けたトレーニングを支援するソリューションとして、「アップスキリング/リスキリングプログラム」が挙げられます。具体的には、弊社コンサルタントが受講生自身の課題業務の自動化(RPA)を伴走・支援し、確実な業務効率化(成功体験創出)とリスキリング(スキルの新規習得)を実現します。
弊社では、「実務のDXをやり抜く」経験を得るための寄り添い型支援が必要であると考えているため、講師による1対1の伴走型支援を行っています。例えば、一般的な育成支援は「DXスキルの知識学習(講義/e-Learning)」が多く、実績に裏付けされた方法論を用いるため、ツールの学習にとどまることが多いですが、弊社の育成支援は、有識者等の専門家による1対1の伴走型によるDXスキルの実践学習となり、約2カ月の期間を通じ、オリエンテーション・カウンセリング・開発サポート・卒業生のサポート等の一連の流れにおいて1対1の徹底的なサポートをしています。