1点目は、収集すべきデータの広がりや、多くの利用者への展開を見据えて、柔軟に拡張・対応できる仕組みが必要である点です。昨今はSAAS環境で提供され、ユーザーが比較的柔軟にウェブブラウザー上でオペレーションできるパッケージソフトも増えており、こうしたデジタルツールの利用が可能です。
2点目は、企業内に存在する複数のシステムや社外に存在するデータソースを含め、データ連携を容易にするために同一のプラットフォームでデータ収集を行うことが望ましい点です。これについても、WEB-API等の活用を通じた、リアルタイムでのデータ一元収集が可能になりつつあります。
次に「データ蓄積」については、データ量が重要になります。昨今収集可能なデータは指数関数的に増加しており、こうしたデータを複数のシナリオシミュレーション等に余すことなく活用するためには、一昔前のようにデータ容量を事前に見積もってその制約の中でシステム運用するのではなく、データの増加に柔軟に拡張できる仕組みが必要です。
そのためには、SAASを中心としたクラウドシステムを利用するとともに、企業内の複数のシステムでのデータの散在や重複を可能な限り解消するために、グローバルデータベースを設計し、データを一元化する取組みも必要です。
「処理」では、柔軟性と高速化に対応する必要があります。
将来予測やシナリオシミュレーションの算出モデルは固定されたものではなく、環境変化に合わせ、また仮説・検証を繰り返して、頻繁に見直す必要があります。その際に、都度、IT部門に開発依頼をしなくても、ユーザー側でモデル式等を柔軟に変更できる仕組みである点が重要で、前出のSAAS型のアプリケーションは、そうした要求にも対応できつつあります。
また、大規模なデータモデルを扱う場合には、高速な演算処理が必要であり、これもインメモリーデータベース等の技術の活用が見込まれています。
「報告」では、報告を受けるユーザー自身が、例えばWhat-If分析などの追加分析を行える機能を備えたダッシュボードツールが求められます。近年では、こうしたBI・ダッシュボードツールの価格が下落傾向にあり、本格的な導入を推進する企業も増えています。
総括すると、OODAループの実現を支援するためには、さまざまな社内システムや社外ソースからデータを収集し、これらの大量データを一元的に蓄積した上で、将来発生する状況パターンをAIや統計情報を活用して、大量データ解析を短時間で演算処理できるよう、備えておく必要があり、昨今のデジタルツールはこうした要求を満たしつつあります。