3. 先行きの見えない将来に対応するための継続したモデル検証
経済状況と政府の政策の行方が過去に例を見ないほど不透明なことから、当面の間、バランスシートとシナリオプランニングが課題になると参加者は予測しています。「ニューノーマル」により、戦略と事業運営に長期的に問題が生じることも考えられます。
リスクモデルと前提を問い直す
現在注力すべきは、顧客や従業員がこの危機を安全に乗り切るための方策と成長への道筋を見いだすことです。
その一方で、未曽有の経済封鎖がリスクマネジメントを難しくしています。極端なストレスシナリオの範囲内にあるとしながらも、経済活動の大部分が長期的に封鎖されれば、引き続きモデルの有効性が試されることになると考える有識者もいます。ある銀行の取締役は次のように述べています。「失業率はすでに当行のストレスシナリオの水準をはるかに上回っています。前提の一部を見直す必要があるかどうか、現在検討しているところです」
回復への長い道のり
今回の危機が完全に終息するまでには、当初多くの人が予測していたよりずっと長い期間がかかる恐れがあると警鐘を鳴らす有識者もいました。ある有識者は「現在講じている措置は少なくともあと半年は続けなければならないだろう」との見方を示しています。このような状況下では、回復の時期と道筋を予測することが一層難しくなります。
景気回復は、当初期待されていたV字回復よりも緩やかになるかもしれません。顧客の信頼を戻すことが必要ですが、以前の水準に戻るまでには時間がかかる可能性があります。ある参加者からは、売り上げのない期間が3カ月から半年も続いたら、企業は持ちこたえられないとの指摘がありました。「銀行は、企業がこの時期を乗り越える手助けをするしかないわけですが、どのようなシナリオであっても、巨額の信用リスクを負うのは間違いありません」
「この状況がどのくらい続くかによって、私たちが融資することになっている企業の一部は経営が立ち行かなくなる」とみる参加者もいました。ある参加者は「デット・エクイティ・スワップが行われる」と予測しています。結局は、政府と中央銀行が最終的な頼みの綱になると考えられます。