一般的に、法務・コンプライアンス部門、リスク管理部門、内部監査部門等がCSA推進事務局となり、制度設計や各種ファシリテーションを実施します。
CSAの実施形式には、1線によるCSAチェックリストへの書面回答を実施する質問書形式と、1線とCSA推進事務局双方が参加してテーマに対し意見を述べ合うワークショップ形式があります。前者は多数の部署・子会社を対象にスピーディーに展開することができます。後者は事務局と1線の合意形成がしやすいといった利点がある一方、時間がかかること、議論を主導するファシリテーターの能力が必要であることから難易度が高い手法であり、導入企業数も少ない傾向にあるといえます。したがって<図1>では質問書形式を前提としたフローを紹介しています。
「リスク一覧の作成、評価」では、CSAの回答者となる本社部署、子会社、事業所等のそれぞれの業務・業種ごとに対象となるリスクを選別します。
「CSAチェックリストの作成」では、選別されたリスクに対する標準統制、またはその成熟度を定め、回答者の現状を把握するための質問書を作成します。
CSA導入に当たり、コンテンツの作成は各社が最も検討を要するタスクのため、後述する「Ⅳ CSAチェックリスト作成上の留意点」にて詳しく説明します。
「CSAの実施」では、回答者に対しマニュアル配布や説明会の開催、質問窓口の案内といったサポートを提供し、回答方法について意識合わせをすることで、意図した運用の定着を図ることができます。
「改善計画策定」「改善の実施」では、回答結果と設定した標準統制を比較し、統制が不足している場合、1線による自律的な改善が求められます。
「モニタリング」については、リスクの重要度に応じてモニタリングの程度に差をつけるリスクアプローチの要となる部分ですので、後述する「Ⅴ 3線モデルにおけるCSAの活用方法」にて詳しく説明します。