課題先進国、日本ならではの戦略立案
日本は先進国で最も早く少子高齢化に直面する課題先進国であり、地政学的リスクも大きい国です。それ故に、キャスティングボードを握れる可能性があるほか、これらの課題を逆手に取って、世界に先駆けたソリューションを提示する日本企業も出てきています。昔からの日本の生活習慣として循環型の仕組みが組み込まれている領域も多く、物を大切にする意識も高かった国民性です。牛乳瓶やビール瓶は昔からリサイクルしていましたし、ごみの分別行動も広く普及しています。技術だけでなく、こういった生活様式やソフト面のエッセンスもサステナブルな領域で活かせる可能性は十分にあり、日本が世界に貢献できる分野でもあるでしょう。
また、企業城下町という言葉がある通り、もともと社会的な視点を包含した理念や組織文化が醸成されている企業も数多くあります。ただ、「日本企業には三方良しの精神がある(のでこのままで良し)」では、思考停止に終わります。そうした企業も、現状維持を良しとせず、現代社会に則して理念を再解釈することで、サステナビリティを戦略の原動力として活用していくことが可能になります。
制度対応などの外的動機のみでサステナビリティ戦略を進めようとすると、受け身で外形的な対応にとどまりがちで、常に後追い、すなわち世界からは半歩あるいは一歩出遅れる形になります。
サステナビリティ課題を経営戦略の一環として捉え、独自の文化や特性を他社との差別性あるいは強みに、新たな競争上のポジションを築くことで、受け身の経営から攻めの経営へと進化させることができます。経営は、法に違反しても継続できますが、社会からの信頼を得られなければ、持続できません。すなわち、社会から支持される経営こそ、持続可能な経営となります。真の内的動機からのサステナビリティ戦略とは、企業に内在するものだと考えられます。EYは、クライアントの持つ社会性や無形の価値を明らかにし、多様なステークホルダーから支持される経営の実現を、サポートしています。